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井戸を撮影

2019/03/05

当時小学生だった俺は、夏休みになると田舎のばあちゃんのところに遊びに行っていた。
ばあちゃんの家の側にはそれほど有名ではない城があって、夜になると俺や兄貴はよく肝試しに行っていた。肝試しのコースは、家から出て城に行き、正門を通って城の中庭にある井戸まで行き、裏門を通って家まで帰ってくる、というコース。
当然夜なので城の中には入れないが、正門と裏門は常に開いていた。今考えると、井戸なんてやばいものの所までよく行ったと思う。
映画「リング」とか見た今は絶対に行けない。その日、例年通り肝試しに行くことになった。
メンバーは俺と兄貴と従姉妹のお姉さんの3人。これも毎年やってることだが、肝試し中は、ずっとビデオカメラで撮影している。
カメラ係りは俺。VHSの大きなビデオカメラだが、その重みが逆に落ち着く。
もちろんレンズを覗きながら歩くのは危ないから、ずっと前方を向けて歩いてるだけだったが。暗い夜道を懐中電灯一本の明かりを頼りに進む。
俺と兄貴は毎年行ってることもあり、あまり恐怖心はなかったが、その年初参加の従姉はすっかり怖がっていた。なので、従姉を間に挟み、3人で手を繋いで歩いていった。
特に何もなく、井戸まで到着。井戸には落下防止のため蓋がしてあったが、これがガラスの蓋で、中が見えるようになっている。
さすがに俺らもこの井戸を覗き込む勇気はなく、毎年やってる通り、カメラを井戸の底に向けてしばらく撮影し(当然レンズは覗かない)、裏門を通って帰ることにした。帰り道も行きと同じように、お姉さんの右に俺、左に兄貴が立ち、手を繋いで帰っていった。
やがて家に到着。何もなかった。
・・・と思っていた。家に入り、いつも通り俺らが撮ってきたビデオを見た。
大人達は宴会をしており、すっかり酔っ払ってほとんどが寝ていたので、行ってきた3人と、下戸な従姉妹の叔父さんの4人だけで見た。井戸までの道は何もなかった。
しかし井戸を遠くから撮ってるところから、異常を感じた。井戸がぼんやり光っているように見えた。
明かりなんてなかったのに。笑いながら見ていた俺らだったが、言葉を失った。
カメラはそのまま井戸に近づいていく。井戸は光っている訳ではなく、何か白い“もや”が掛かっているようだった。
俺は焦った。このカメラは、この後井戸の中を撮影している。
そこに何が映ってるかなんて、考えたくもなく、見たくもなかった。でも、目をそらすことができなかった。
俺らは凝視していた。いつもは何も映ってない。
一時停止してじっくり見るくらい余裕がある。でもその年は違った。
絶対に何かいる。カメラが井戸の前まで来た。
そして、中を・・・というところで、叔父さんがビデオを止めた。そしてこう言った。
「これはここまで。これ以上は見たらいかん。
いいな?」異論を唱えるものなんて居なかった。そのビデオテープは翌日、叔父さんがお寺に持って行った。
お祓いして、お寺に預けてきたらしい。俺らは安心して、怖かったな~よく無事に戻って来れたな~、なんて話していた。
帰り道もずっと手を繋いでたからね~、なんて俺が言うと、従姉妹はこんなことを言った。「え?帰り道は<俺>君とは手を繋いでないよね?」俺は震え上がった。
そして思い出した。帰り道、従姉妹は右手に懐中電灯を持っていた事を。
でも、俺は確かに手を繋いでいた。誰かと。
それ以来、肝試しは中止になった。

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