唸り声
2019/02/26
従兄弟でもあり、親友でもあるM君とのお話。
私は早くに結婚して、実家を出てアパート暮らしでした。
M君は親元を離れて暮らす私が楽しそうに見えたのか、
一人暮らしをしたい、と言い出した。
私は嫁さんと二人の稼ぎで家賃払っていたので良かったのですが、
当時、私もM君も21歳。
稼ぎも当然少なかった。
M君は一人暮らしはしたいが、
遊びの金は減らしたくないって事で
激安の物件を見つけてきました。
不動産屋の話では以前この借家で、
病気で亡くなった一人暮らしの老人がいたとの事。
それ以上の事は不動産屋も言わなかったが
M君も私も霊感は無いけど怖い話好きだったので、
私はそこをM君に勧め、M君も喜んで
その借家に住むことに決めました。
とりあえず、他の友人も誘って引越しの手伝い。
荷物なんて殆ど無かったので1時間ほどで引越し完了。
引越しの終った部屋でM君の彼女と私の嫁さん、
他友人2名で少し遅い夕飯を食べました。
この部屋がイワクつきなのは私とM君しか知りません。
飯も終って21:00頃、
友人二人が腰が痛いと言い出しました。
引越しで重いもの持ったからだろ、
とその友人2人は話していましたが、
そこでM君がここの借家で亡くなった老人の事を話し始めました。
私とM君が楽しそうに話しているのとは反対に、
嫁さんとM君の彼女が怒り始めた。
何でそんな所を借りたのか、だとか気持ち悪いだとか色々。
結局、嫁さんと彼女は帰る、と言い出した。
友人二人も腰が相当、腰が痛んできたらしく結局、
22:00頃、友人2人と嫁さん、M君の彼女は帰ってしまった。
部屋には私とM君だけになった。
私たちは幽霊を信じていない訳では無かった。
むしろ、怖い話は大好きだった。
でも見た事は無かったし、完全に余裕をかましていた。
暇になったので久しぶりに腕相撲で勝負する事になった。
いつも腕相撲は勝負が長引いた、
この日もそうだった。
最後は精神力の勝負になる、
お互い粘って自然と声も出る。
う~、ぐぅ~とか唸り声を出しながら勝負していると
M君が急に力を抜いてしまった。
どうした?と問うと急に腰が痛くなった、との事。
と、ここで異変に私が気が付いた。
腕相撲が終っているのに腕相撲中に聞こえていた唸り声が
まだ微かに部屋に響いていた。
私もM君もお互いの顔を見合わせる(-Д-;)
私が幽霊かな??と思っているとM君が
「キタ━━━━━━(・∀・)━逃がすな、窓を全部閉めよう、鍵もかけるぞ」
と言い出した。
窓を閉められた位で逃げれなくなる幽霊なんているのか?
とは思ったが一応、言うとおりにした。
M君が
「俺等は見えないんじゃ、見えるように出てきてくれや」
と天井に向かって喋った。
するとさっきまで聞こえていた唸り声がピタリと止んでしまった。
M君の腰痛も治った。
M君は次の日からお茶を何時も1つ余分に出したり、
北枕にして寝るようにしたり、
ドアを少しだけ開けておいたりと、
様々な手法で幽霊を迎え入れようとしていたが
結局、それ以上の事は起きなかった。
一度、他の友人とM君を驚かせる為に
夜中の1:00頃に玄関で唸り声を出したり、
窓ガラスをゆすったりしましたが、
M君は機嫌が悪かったのか
「今度やったらマジ死なすぞワレ!」
と怒鳴っていたので怖かったです。