鋳鉄製のフライパン
2023/06/13
仲の良かった友達が死んだ、葬式の後、その友達の親に頼まれて住んでいたマンションの片づけを手伝った。
友人は真性のオタクだったので形見として、収集品の中から逸品を何点か親御さんに了解をもらって引き取ったのちに、家電やら書籍、DVD、フィギュアなどを査定してもらって売り払った、代金を友人の親に渡したら金額に驚いていた。
最後に台所用品を片づけていたら鋳鉄製の小さなフライパンが出てきた。
友人は独身だったがまめに自分で自炊していた。
重さが気に入ったのでこれも形見にもらった。
家に帰り、やっと友人の死の実感がわいてきた。
病気で死んだけど、いまだに原因ははっきりしてない。
死に顔は痩せてて顔色はなんというかどす黒かった。
死化粧で肌色のファンデーションを厚く塗ってあったけど、下から浮き出て来ていた。
鼻血が止まらず、頭痛がひどくて脳溢血とか脳内の血管の病気を疑って何度も検査したけど結局原因不明で逝ってしまった。
それから二週間くらい経った頃に俺も鼻血が止まらなくなった、頭痛もひどい。
病院に行っても原因不明、頭部のCTも撮ったけれど医者は原因になるものは見つからないと言う。
吐き気もする中、必死に別の病院で診てもらったけれど答えは同じ。
友人の症状とまったく同じ、うつる病気なのか?それとも呪い?
会社にも行ける状態でなく枕元に携行保水液とカロリーメイトとかウイダーインゼリーとか置いて命をつないでいる状態だった。
4日ほど経って、少し症状が軽くなってきた、鼻血も止まっている。
頑張ってベッドから這い出してなんかまともな物を食べなくちゃと思った。
卵を冷蔵庫から取り出してフライパンで焼いてベーコンと食べた。
久しぶりのちゃんとした飯だなと思ったときに生暖かい物が鼻先からテーブルに落ちた。
鼻血だ・・・なんか変だ。
なんか変だ。
鼻血、どこかで読んだ・・・鼻血が出る、吐き気、衰弱。
原爆の体験記、広島とか長崎の直接怪我をしなかった人たちが原爆の放射能を浴びて死んでいく過程に似ている。
同じ症状の友達の物で貰ったものはフィギュア数体と鋳鉄のフライパン・・・?
卒業した工業大学の化学科に連絡を取って両方を鑑定してもらった。
鋳鉄のフライパンが放射線を発していたということだ。
それもかなり高いレベルで・・・防護服なしで触ったりそれで料理した物を食べ続けたら永くないということらしい。
死んだ友達より俺の方が放射線に対する感受性が高かったので症状が早く表れたことと、実際に触ったりしていた時間が短かったので今は症状がなく落ち着いている。
少なくとも被曝はしているのでこれ以上、放射線に被曝の可能性のある所に行かないこと、その手の仕事に就かないことを約束させられた。
フライパンは○国製で原発の廃材か何かを検査せずに材料に使ったことでできた産物らしい。
まだ、日本全国に回収されていないモノがあるから中○製の鋳鉄のフライパンはちゃんと放射線が出ていないものを選んで買った方がいいよ。
慰謝料はしかるべき所からもらったよ、友人の親にもね。
一生働かなくても良いくらいだけど、来月から元の会社に戻るつもり。
普通が一番だと感じたから。
放射線の影響は多少有ったはずなんで、いつまで生きれるか正直判らないけど普通に生きてみるよ。
お金くれた所の偉い人が(その代理かも?)マスコミとかに、言ってもいいけど大元のところで情報を握ってるから今回の事は表には出ませんよと言っていた。さすがマスゴミだなー。
というわけで、これは俺のフィクションだから安心してくれ。
原発事故が起こってもみんな平穏に暮らしてる国、日本のおとぎ話だよ。