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赤いサイフ

2019/02/25

これは7年ぐらい前の話です。
高校卒業後、就職して初めての一人暮らし。
実家から徒歩30分程度の所で、
まったく土地勘がない場所じゃなかった。
一人暮らしを始めて三ヶ月ぐらいした時、
会社から家への帰り道、
毎日夕方6時頃いつも通る公園の横を歩いてると、
なにげにフッっと公園と道路の溝に目がいって、
見てみると赤いサイフが落ちてたのよ。
ん?っと思ってサイフを拾ってみると重い!
カード類が5~6枚入っていて、
千円札が2枚ぐらいと、あとは小銭がギッシリだった。
直感で女性のサイフって分かった。
一瞬ネコババしようと思ったけど、
当時、俺には女友達がまったくいなかったので、
これをキッカケに女友達が出来るかも!?って思って、
近くの交番に届けた。
警察官から色々聞かれて、
紛失届書?みたいなもんに記入したりして、
1時間ぐらいかかったかな?
警察「その書類はそちらで保管しててください。
落とし主が現れた場合に必要な書類なので。
では、落とし主が現れたらこちらから連絡しますので」
俺「はい」
どんな人かなぁ~。
なんて想像しながら家に着いた。
時計を見ると夜の9時。
風呂でも入って寝るか…っと思っていた時、
ピンポーン・ピンポーン・ピンポーン
おいおい3回も押すなよ…
こんな時間に誰だと思って玄関を開けると、
そこには冬場なのに赤い超ミニスカでキャミソールの美人が!
俺「…どちら様で?」
女「…すいません(←めっちゃ小声で)。
サイフを落とした者なんですけど…」
俺「あっ!はいはいはいはい♪」
おいおい…いきなりかよ!
しかも美人!
女「あの…紛失届の書類を貰いに来ました(←超小声)」
俺「あっはいはい♪ちょっと待っててください!」
急いで紛失届書を取りに部屋に戻って、
玄関に行こうとしたら真後ろに女が立ってた!
え!?まさか…ヤレル?なんて思ってたら、
女が顔をツゥーーーっと近づけてきて、
「やさしいんですね(←聞き取れなかったけど、たぶんあってる)」
と言って、ニヤァ~って笑った。
笑った口には歯が一本もなく不気味だった。
一瞬、不気味さと恐怖で意識を失いそうになった。
俺「と…当然ですよ…」
女は顔を近づけたままニヤァ~っと笑っている。
俺「あの・・・もう夜も遅いですし・・・(←震える声で)」
なおも女は顔を近づけて、
女「親切な人っているんですねぇ(←ここはハッキリと)」ニヤァ~
そう言って女は帰って行った・・・。
その日は怖くて実家に帰って寝た。
一人でいるのが怖かった。
それから三日後ぐらいに、
フッっと警察の人が言ってた言葉を思い出した。
『落とし主が現れたら連絡しますので』
そういえば警察から一度も連絡がなかった。
怖いけど気になったので、
会社の帰りにサイフを届けた交番に行ってみた。
すると同じ警察官で、俺の事を覚えていたらしく、
警察「まだ落とし主現れてないんだよね」
…え?サイフを届けた日に家に来たんだけど?
なんて言えなかった。
おかしい…警察に行かないで何で俺の家が分かったんだ?
後をつけられた?
それしか考えられない。
考えれば考えるほど怖いので忘れる事にした。
それからちょうど1年後、恐怖を忘れかけてた頃、
いつものように帰り道の公園を歩いていると、電信柱に人影が。
ん!?
赤いミニスカにキャミソール姿の女がいた。
紛れもなくあの女が…
サイフを拾った場所を電信柱の影からジーーーーっと見ていた。
それ以来、その公園を通る事はなかった。
今でも赤いミニスカを見ると、あの時の恐怖を思い出す。

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