百物語の後
2019/02/24
小学生中学年くらいだったの話だったと想います。
よくある100物語をやろうと誰かが言ったのがきっかけでした。
とはいっても、1人で何十個も怖い話を知ってるわけもなく
10名が1人10個ずつ話す事になった訳です。
私も、必死で怖い話を覚えて参加したんです。
まあ、100個と言っても似たような(ほぼ同じ)話もちらほら。
ローソクも2,30本ずつ立てて、
残り少なくなったら又火をつける。
体育倉庫に忍び込んでやってたんで、
すごく狭かったんですよね。
俺も、話終わり70話、80話と
どんどん進んでいったんです。
放課後から始めたからすでに日はおちかけてます。
そして、最後の人が100話目を話し終え、
ローソクを消す・・・
数秒、沈黙が恐怖を掻き立てたのだけど何も起きず。
誰かが
「なんだよ、やっぱなんにもおきねーじゃん」
と。
俺もちょっとだけ期待してたんですが、
まあこんなもんかとね。
大体、同じ話とかローソクいっぺんに立てないとか
ダメな要素満点だったし。
でもそれまでのなんともいえない緊張感ってのが楽しかったので
それなりに満足してみんなして体育倉庫を後にしていく。
最後に俺が体育倉庫のドアを閉めて振り向き
なんとなく、人数を数えたんですよ。
これがいけなかったのか・・・
1.2.3・・・・7.8・・9・・・??9人?
みんな歩きながらだし、
最初は数え間違えだと想ったんです。
みんなを呼び止めました。
「ちょっと!!」
あまりに、でかい声だったのでしょう。
みんな俺のほうを振り向いて歩みを止めました。
俺は無言のまま、もう一度人数を数えました。
やはり9名しかいない。
おかしい。
「なあ、誰か先に帰った?」
先頭のほうを歩いてた奴が答えた
「いや、誰も帰ってないと想うぞ、どしたん?」
俺は、正直意味がワカリマセンでした。
1人足りなかったんじゃないんです。
問題は、1人足りないと想われる人が誰かわからないんです。
俺は、答えました。
「え?だって10人でやってたでしょ?いま。9人だよ・・?」
みんな人数を数え始めました。
そして、みんなの顔色が
目に見えて代わって行ったのが分かりました。
そして俺と同じ疑問を口にしていました。
「なあ。誰がいなくなった?」
そうです。
たしかに、1人居なくなったのに
それが誰だか思い出すことが分からなかったのです。
その場の全員が。
誰かが言いました。
「・・・今日は、遅いから、帰ろう。」
みんな無言で帰っていきました。
次の日から、クラスには誰も居ない席が一つ出来ました。
先生も含め、誰かいたような気がするが誰も思い出せません。
名簿にも載っていませんでした。
1人という人間が消えたという事実が
あったかどうかすらあやふやになってしまいました。
それから、10年以上たちます。
今では、その事すら、記憶から消えようとしてました。
でも、たしかに最初は居たのです。
誰も覚えてません。
これからも思い出すことはないでしょう・・・
永遠に消えた、クラスメートの存在を・・