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壁の絵

2019/02/05

その人が住んでた家の近くには、取り壊されていない、
誰も住んでない家があったそうだ。
小学生だったその人は、
朝学校へ行くたびにその家を眺めていたんだけど、
ある時、その壁にペンキか何かで
女の人らしき顔の落書きが描かれていたらしいんだ。
そこまでリアルに描かれていた訳ではないんだけど、
こう、長い髪が簡単に描かれていて、
で、目はただの丸が二個あっただけだった。
特徴はその口なんだけど、
最初は横に一本引いてあるだけで
なんてことなかったらしいんだ。
でも毎朝見ているその人は気づいた。
朝、見かけるたびにその横棒が、
微妙にだけど、「へ」の字に曲がってきている事を。
そのうちその口はほぼ90度くらいになって、
けっこう異様な雰囲気な絵になったそうだ。
その絵を見ていると、
なんだか気がどんどん滅入ってきたらしい。
その人は体に疲れを感じるようになった。
そしてある日の深夜その人が寝ていると、
頭の中や部屋の中、窓の外から、
「キャハハハハハハハハッ・・・・」
って女の声がして、飛び起きたそうだ。
なんとなくその人はある予感がして、
深夜にもかかわらずその壁の絵を見に行った。
するとその絵の女の顔の口は、口裂け女のごとく、
逆「へ」の字に折れ曲がっていたそうだ。

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