鏡を横切る影
2019/01/20
高校受験に落っこちて、
しばらくふさぎこんでいた俺でしたが、
「このままじゃ俺自殺するかも」
と自分でも少し危なく感じ始めたので、
何か楽器をすることにしました。
で、ドラムとエレキベースか悩んだ挙句、
ベースを買うことにしました。
基本的にインドア派だった俺は、
家にいるときは
だいたいベースの練習をしていました。
で、別に休日にどっか遊びに誘ってくれるほど
親しい友達もいないので、
しょっちゅう鏡の前で
「こんなことだってできちゃうんだぜヘイヘイ」
とベース弾きながら調子乗ってました。
そんなある日、
いつものように調子乗ってベースを弾きながら
鏡の前を右へ左へ横切っていましたが、横切ったとき、
鏡に何かが写っているのが見えました。
人間の形をした、黒い何かが。
一瞬にして血の気が引きましたが、
もう一度鏡を見ると何も写ってませんでした。
ところが確認し終えた瞬間に、
ベースの弦がバチン!と切れて、
腕にスパッと一線の傷ができました。
それから俺はもう鏡の前でベースは弾いてません。
また同じようなことが起こると思うから。
でも今でも部屋の窓ガラスが、
鏡のように自分を写すたび、
俺はびくびくしてます。