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我、餓鬼道ニ堕チタリ

2019/05/04

爺さんが死んだ時の話。
爺さんの部屋の整理を俺も手伝ったんだが
押し入れに古い木箱が入ってた。
開けてみると、どうやら戦争の時の
思い出の品々が入ってるみたいだった。
俺はそれをこっそり自分の部屋に運んで調べたんだ。
何かお宝が、例えば刀とか軍服とかカッコイいものがあるかもと思って。
今思えばとんでもないバカなガキだった。
中には赤茶色のぼろ切れ、銃剣の剣、水筒や変な置物、手帳、
ワケわからんガラクタ、何枚かの写真、そして…白っぽい何か。
「なんだこれ?」白っぽい何かは布にくるまれてた。長いのが二本、細かい欠片が多数。
しばらくして気づいた。腕だ。これは人間の、肩から先の骨だ。細かいのは指だろう。
しかし誰の?爺さんは五体満足で帰って来た。
戦争の話は一度もしなかったが
親父が言うには結構な地獄を見てきたらしい。
戦友の骨だろうか。
手帳を開いてみた。
恐らくは日記帳だと思う。
日付と共に戦場も移っていく。
良く読めなかったが知ってる地名がいくつかあった。
多分南方だろう。
軍オタが読めば面白いのかもしれない。
日記は唐突に終わっていた。最後のページにはただ一行だけ、
『我、餓鬼道ニ堕チタリ』

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