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仏間兼客間

2018/12/22

子供の頃、曾じいちゃんが建てた古い木造の家に住んでたんだけど、
1階奥の8畳が仏間兼客間になってたんだ。
ところが、この客間に泊まった人が1人残らず1年以内に死ぬ。
それも、まだ40~50代で元気だった人達が、
事故や脳梗塞でポックリ逝っちゃうんだ。
まあ偶然だろうとあんまり気にしてなかったんだけど、
じいちゃんの通夜の晩に、
坊さんを呼んでその部屋でお経を上げてもらったら、
読経を終えた坊さんがゆっくりこっちを向いて、
「床の間の柱、逆さ柱ですね」
と言ったんだ。
逆さ柱というのは、普通とは逆に、
木の根っこを上にして立てる柱のこと。
『土に還る』という意味で、
寺や仏間だけに使われるものなんだって。
パッと見は普通の柱と同じでも、
よく見ると木目の向きが違うらしい。
教えられてもオレにはよくわからなかったけど、
お坊さんは見慣れてるから分かったんだろうな。
多分、仏間だからというので、
棟梁が気を利かせて逆さ柱にしてくれたんだろう。
でも、家族の誰もそのことに気づいていなかったんだよ。
「縁起のいいものではないから、この部屋では寝ないほうがいい」
と坊さんに言われて、
それからはお客さんには別の部屋で寝てもらうようにした。
以降、うちに泊まった人が亡くなったという話は一度もない。

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