見えていたんですか
2018/12/13
母の友人の話。
母の友人が昔、病気で入院した。
病名は子宮ガン。
さいわい、大したことはなく、
手術をすれば治る物だったそうで、
彼女は街で、一番大きな病院に入院することになった。
さて、彼女が入院して最初の夜、
彼女は部屋の中に人の気配を感じたそうだ。
彼女の部屋は個室だったので、
看護士が見回りに来たのかなと思ったのだが、
その気配は全然出ていく様子がない。
不審に思って目を開けてみると、
そこには着物を着た男が一人、立っていたそうだ。
いや、男という表現は正しくないかも知れない。
それというのも、
その人物の顔だけがまるで霞がかかったかのように、
あるいは、まるでそこに何もないかのように見えなかったというのだ。
彼女はあまりの恐怖に気を失い、
気が付いたのは翌朝だったそうだ。
最初のうちは夢だと思っていたそうだが、その男は毎晩現れ、
ついには昼間にも姿を見せるようになった。
しかし彼女は、自分が病気や死に対する恐怖のために
幻覚を見るようになったのだと、
家族や友人にも何も言えず、
ただひたすらに耐えていたそうだ。
しかし、我慢にも限界が訪れる。
彼女は思いきって看護士にうち明けることにした。
すると、その看護士は・・・・・・
「見えていたんですか!」
と言って、彼女を別の部屋に移したそうだ。