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沢山の「黒い手」

2018/12/09

当時学生だった頃に、
知り合いの会社の保養所に行った時の話です。
箱根にある、山自体が別荘地になっている所なのですが、
そこの山頂付近にある保養所で、
一見お洒落な一軒家になってました。
そこには何度か行った事もあったのですが、
少し見える体質の私は、
以前からそこには沢山の人影を見た事がありました。
その日は、私と友人のMと2人で夕方に着いて、
あとから友人Tカップルから連絡が来るのを待っていました。
保養所の造りが1階が吹き抜けのリビングになっていて、
2階はロフトになっていて、その奥に寝室があるのですが、
以前から2階にあまり良くない「影」を見ていた私は、
2階の寝室は使った事が無く、1階のリビングでくつろいでいました。
友人のT達から連絡が来るまで
テレビを見ながらまっていたのですが、
1階のリビングにある大きな窓に反射して見える2階ロフトには、
たまに「影」が往復しているように見えていました。
その日は良く晴れた日だったのですが、
急に夕立になって空が暗くなってきた時に空気が重くなってきて、
2階の方から
「パタタタ・・・パタタタ・・・」
と足音まで聞こえてきました。
嫌な予感がするなと思っていたのですが、
友人Mも顔色が悪くなってる事に気がつきました。
2人で顔を見合わせ、暗黙で
「言葉に出したらヤバイ」
と思った2人は、白々しく
「下のコンビニに酒でも買いにいくかー」
等と言って、
とりあえずこの場から逃げ出そうとしました。
その時、玄関のチャイムが鳴って、友人Mは
「やった!Tカップルが来た!」
と玄関に走っていったのですが、
その瞬間にものすごく危険を感じた私は
「待て!開けるなー!!」
と叫びました。
何故なら、
Tカップルはこの保養所の場所を知らなかったのですから。
勢いあまってMが玄関を開けてしまった瞬間に、
外から沢山の「黒い手」が流れ込んでくるのを見ました。
その「黒い手」を振り払い、
パニックになった私とMはそのまま裏口から外に出て、
車で近くの駅まで逃げました。
その時、山を下る私の車は
シューマッハ並に速かったと思います・・・
駅でTカップルと合流して、
訳を話し保養所に戻りましたが、
戻った時は元に戻っていました。
それからも何度かそこの保養所には行きましたが、
少人数では絶対に行きませんでした。
知り合いの会社の人達でも、
そこではやはり色んな事が起こっているようです。

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