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きちゃだめ

2018/12/05

専門学生時代に、同級生(でも年上)が高熱で動けないと聞いたので、
お見舞いに行こうと思ったら、
それよりも先に『うつるからきちゃだめ』とメールが入ってきた。
それでも、一人暮らしの体調不良なんて
ろくなものもお腹に入らないだろうからと、
スーパーで缶詰めとかうどんを買った。
また、『きちゃだめだからね』とメールがきた。
合鍵は持っていたから、
はじめは玄関に袋でも置いて帰ろうかと思ったけど、
メールを出せる元気があるならと、
やわらかい煮込みうどんでも作る気で彼女の家に行った。
「勝手にじゃまするよ~」
と部屋に入ると、すごい寒い。
熱があるからクーラーでもつけてるのかと見たら、
コンセントが抜いてある。
季節は5月もすぎた頃で超あったかい。
そういや北部屋でもないのに妙にじめじめしてる。
真っ白な顔されて「だめっつったろー」と言われたけど、
耳もとで「なにか食べる?」と聞いた途端、
彼女が物凄い勢いでベッドの上にゲロった。
枕元に洗面器があったので、
慌てて用意してもドバドバ溢れる程出てきて、
それがやけに透明で臭いもしない。
なんじゃこりゃ!食べてないから?
でも胃液は臭いはず?とテンパリながら、
背中をさすったけどおさまらなくて、
彼女も鼻水たらして涙もぼろぼろ流してるし、
あんまりひどいから、でかいタオルとトイレットペーパーを取りに行った。
戻ったら彼女はけろっとしてて、血色もよくなってる。
部屋もいつのまにかぽかぽかしてて、西日が明るい。
なにより、洗面器には何も入ってないし、
透明なげろが飛び散った形跡はどこにもない。
「来るなって言ったのに来てマジびびったしwwww
でもうつらなくてよかったwwww」
とにかく彼女は元気になって、
「お腹が空いた飯作れ」
と言われたのでうどんを作ってあげた。
ちょっと恐かった。

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