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逆上がり

2018/11/04

私がいた小学校であったお話らしいです。
この学校にいたA君は、運動が苦手でした。
その中でも鉄棒が大の苦手で当然体育の授業は大嫌いでした。
そんなある日、体育の時間逆上がりのテストが行われることになりました。
その日からA君の特訓が始まりました。
休み時間はもちろん、放課後も遅くまで残って一人で練習を続けました。
始めは笑っていた友達も、
彼のひた向きな姿を見て練習に付き合うようになりました。
が、何日たっても逆上がりはできず、
そのうち友達もあきらめてしまい、
再び一人で練習を繰り返していました。
でも彼はあきらめませんでした。
そして彼の努力は実を結びテストの前日、
ついにできるようになったのです。
当日の朝ははりきって家を出たといいます。
当然といえば当然でしょう。
ところが彼を思わぬ悲劇が襲います。
青信号を渡っていた彼は居眠り運転のトラックに
轢かれてしまいました。
遺体の損傷は激しく、首はちぎれ飛び家族でさえ
目をそむけたといいます。
その日の夜からです。
校庭に彼が現れるようになったのは。
何人かがその影を目撃しましたが、
正体は全くつかめませんでした。
鉄棒付近に何かがいるとしか・・・。
ある夜、用務員が校庭を見回っているときに
それは正体をあらわしました。
鉄棒付近に何らかの影を見つけた用務員は
恐る恐る近づきますが、暗くてよくわかりません。
そこで手にしていた懐中電灯を
思い切って影のある方向へ向けてみたのです。
その光の中に浮かび上がったのは!
血走った目を大きく見開いたA君の生首が、
口で鉄棒をくわえグルグル回っていたのです。
よほど強く鉄棒を噛んでいるのか、
口はもちろん歯まで血に染まっているのです。
半狂乱になった用務員は
そのまま学校を去ってしまったということです。
A君のクラスの全員が集まり、
鉄棒の近くで線香を焚き冥福を祈ったところ
その影は現れなくなったといいます。
よほど見てほしかったのでしょうね。
逆上がりを。

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