主人の話
2018/10/24
うちの主人は26歳のときに独立して自営業をおっぱじめました。
ある日の午後、小腹のへった主人はカップラーメンにお湯を入れ、いざ食べようとお箸を持ったその時。
「すいませ~ん」
というお客さんの声。
「間が悪いな」
と思いながら、お店に出ると高校時代の同級生(仮にA君としておきます)の姿が・・・。
「おぅ!久し振りっ!」
と、世間話をいろいろしていたそうです。
Aくんは俺も結婚して子供も産まれてなにかと大変なんだ、などと言ってたそう。
世間話をしながらも、頭の片隅にカップラーメンが気にかかっていた主人。
Aくんに
「そういえば、お前なにでここまで来たの?」
と聞いたそうです。
「え?自動車だけど?」
と言われて、なにかが気になった主人。
でも、なにが気になったのかはその時はわからなかったそうです。
うちは、店舗兼住居状態のすみかで2階が住居部分です。
突然Aくんが
「ぢゃ、そろそろ俺帰るわ」
と席を立ったそうです。
「帰るわ」
という言葉になにかひっかかった主人でしたが、カップラーメンが心配だったため、
「そうか。ぢゃ、またな。」
と、とっとと二階に戻っていったそうな。
当然、二階には汁を吸って『あぁ~あ。』な状態のカップラーメンが・・・。
あぁ~あ。と、思ったときふと、
あいつ、車で来たって言ってたけどどこに車止めてたんだろ?エンジンの音したっけ??
と、思ったんだそうです。
いつきたんだろ?俺、耳だけはいいんだけどな?裏の駐車場のことはあいつ知らないはずだし、仮に知っていても今日は雨降り。あいつ、濡れてなかったよなぁ???
数週間後、偶然また別の同級生にあったそうです。
「おぉ~!久し振りっ!お前、今なにやってんの?」
以下、会話。
同級生:そういえば、Aくんが亡くなった話聞いた?主人:え?Aってこないだ、うち来たぜ?
同級生:それ、いつだよ?主人:つい最近だよ。〇日ぐらいだったかなぁ?
同級生:・・・・・
Aくんと仲がよかったその同級生の話では、本当に急に亡くなってしまったようです。
風邪の菌が脳のほうにまわってしまい、ほんの数日のあいだに、意識が戻らないまま。
Aくんが主人の店に姿を見せたと思われるその頃、Aくんは、病院に意識がないまま入院していたということです。
なんでうちに来たのかわからないけど、あいつ、心残りがたくさんあったんだろうな・・・。
と、言ってました。
でも本当に怖いのは、そんな体験をしながらAくんのおうちにお線香さえあげにいかなかった主人なんですが・・・