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親戚が管理する廃ホテルで感じた恐怖

2018/10/22

7年前、私がまだ大学生だったころの心霊体験です。
地元の山の中腹にある廃ホテルで感じた心霊体験になります。
入山規制が解除され、日が長くなってきたと感じるようになった季節のことです。
私の親戚が管理をしている廃ホテルに肝試しとして入ることが許されたことをきっかけに、仲間と4人で潜入を試みることになりました。
最初は短い青春時代の1コマにすぎないと、軽く考えていたのでしょう。
それが後に後悔の日々を余儀なくされることなど知らないまま、私たちはナイトクラブの中を当てもなく移動する酔っぱらいのような足取りで朽ちかけている廃墟に足を進めることになります。
腕っ節には自信がある屈強な体を持つ4人ですから、闇の中でスマートフォンの明かりだけが頼りという状況でも私たちを止められる者などいやしないと、確信していました。
単身赴任のサラリーマンが不本意ながら生活をしなければならないような、一般的なアパートよりも2階層ほど多くの空間がある建物は目立つピンク色の外装が特徴的です。
内部はきっと遊び心に溢れている、そのように断定をするにはそれが十分すぎるほどの情報でした。
かつて暇そうな受付人が娯楽研究のために読む新聞に目を通していたであろう、2畳ほどの空間の入り口を確認することになります。
そこへ入ったら廃墟の住人に取り込まれてしまうのではないか、その場所で1度目に感じた恐怖です。
言葉を発せずとも、その場の全員の心の中が透けて見えるようでした。
少しばかり厄介な空間に身を投じてしまったと後悔しかけた矢先、その直感がより正確なものであるとしか思えない光景が視神経を通して脳へ伝えられることになります。
いつも徹夜で麻雀に興じているスペースと同程度の階層へ赴くことを決意したことを後悔した瞬間でもありました。
純白の花びらが、どんなに無教養な人物でもはっきりと理解できるほどまでに死者への敬意を示しているように見えます。
青春と名のついた荒波に抗いきれず、志半ばで夢破れ私の右隣に立ちすくんでいた生ける屍が一番に動き出しました。
自暴自棄、そんな言葉がよく似合う男です。
怖いものなど無い、楽に行こうと背中で語っているように見えました。
彼は鈍い音とともに私たちの視界から外れました。
すでに階段は腐っており、母からはぐれた子猫が彼と同様の意思を持ったとしても結果は同じだったことでしょう。
「立ち去れ」廃ホテルが示す最初で最後の優しさでした。
愚かなことをしてしまったものだと、今でもあの頃の恐怖が身を凍りつかせるような感覚に苦しめられます。

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