教習所のカメラ
2018/09/30
自動車教習所の事務をしています。
倉庫の整理をしているとき、奥のほうに証明写真用のカメラがあることに気付きました。
壊れているのか?とも思いましたがなんとなく気になって先輩に聞いてみたのです。
すると
「壊れてはいないが、あんまり触らないほうがよい」
と言われました。
さらに食い下がって聞くと渋々答えてくれました。
そのカメラは教習所が出来た当初からあるものなのだといいます。
どんなにピントを合わせてもどこかぼやけた写真しか撮れなかったそうですが一向に原因がわからなかったことと、使用出来ないほどではなかったことから初めのうちは気にせず使っていたのだそうです。
そのうち、あの教習所で免許を取ると事故に起こす。
という噂が流れ始めました。
根も葉も無い噂、こちら側に非はない。
とその噂を無視していたのですが、比例するように写真に対する苦情が増え始め、ある日一人の男がやってきました。
免許証をカウンターに叩きつけてこう怒鳴ったのです。
「この写真のせいで俺は左手複雑骨折だッッ!どうしてくれるッ!」
免許証の写真はやはりぼやけていましたが、その左腕。
その部分はぼやけている――というよりも歪んでいたそうです。
その後すぐにカメラを入れ替え、噂も収まったのですがそのカメラは捨てるのも気持ちが悪いので倉庫の奥にああして置いてあるのだそうです。