隙間を探すモノ
2018/09/02
友達のK子は友達のH君にドライブに誘われた。
気乗りしないから断ったんだけどあんまりしつこいから妹のAちゃんも一緒に連れて行くことにした。
H君はもちろん運転席で、K子とAちゃんは後ろの席に座った。
出発して十数分たってからお寺の前にさしかかった。
もともとK子はH君の事をどうでもいいと思ってたし、Aちゃんも口数の多いほうじゃなかったから、車内はし~んとしてた。
お寺を完全に通過するとき、Aちゃんが震えてるのがわかった。
K子が
「どうしたん?」
と聞いてもAちゃんは答えずずっと震えていた。
K子はAちゃんに霊感があることが分かっていたので不安になり、
「H君、Aの調子が悪いみたいやからもう家まで送ってくれん?」
といった。
H君はチッて感じだったけどしょうがないので引き返すことにした。
H君が煙草を取り出して火をつけ、窓を開けようとしたらAちゃんが叫んだ。
「開けんといて!!!」
K子とH君はびっくりした。
K子が
「どうしたん?」
と聞いても、
「開けんといて!」「絶対開けたアカンで!!」
と繰り返すばかり。
しかもすごい顔で怒るので、H君は渋々と煙草の火を消した。
それからずっと三人はだんまりで、K子の横でずっとAちゃんは震えていた。
家の前につくと、AちゃんはK子の腕を締め付けるように握り、車から飛び出し扉をバン!!と閉めた。
H君は何やねんみたいな顔でAちゃんを睨み付けて帰っていった。
K子がAちゃんに
「どうしたん?H君可哀相やん」
と言った。
するとAちゃんは、
「あのな、途中にお寺あったやろ?あそこからな、変な人付いてきてんで。車の外にへばりついてずっとこっち見てた。目がギョロッとして髪の長い女の人。ずっと笑っとった。車ん中入りたくて、ずっと隙さがしててん。窓開けてたら入ってきとった。」
と言った。
K子は
「それでその人はどうなったん?」
と聞いた。
「アタシらが車降りると同時にH君の車に入っていったわ。こっちに来んように、すぐドア閉めたった。お姉ちゃんもうあの人とは遊びなや。」
と言った。
それからK子はH君と連絡を取らないようにしたそうです。