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余計なこと言うな

2018/08/29

消防のころ、クラスにY伊藤という奴がいた。
奴は背が小さいせいか、からかわれる対象になりやすく、俺もたまに帽子とか上履きをとりあげて他の奴にパスしたり(よく消防がやるやつね)授業中にちぎった消しゴムをぶつけたりしてた。
でもそんなイジメってほどでもなく、普通に遊んだりすることもあった。
ある日、昼休み恒例のグラウンドでのドッジボールが予鈴で終わり、俺はボールの片づけがあったので、みんなより少し遅れて玄関に駆け込んだ。
そのときに、ドッジには参加していなかったY伊藤とすれ違った。
俺は
「もう授業始まるよ。」
と振り向いて声をかけた。
すると、Y伊藤は、ブツブツと何か言ってそのまま学校から出て行った。
俺には、
「余計なこと言うな。」
と聞こえた。
普段のY伊藤の口調じゃなかったので、違和感を感じた。
自分が授業遅れて怒られるとイヤだから、急いで教室に向かった。
教室に入ったら、Y伊藤がいた。
「え??」
と思いながら、Y伊藤に、
「さっき玄関から出て行かなかった?」
って聞いたら、
「ここにいたよ。」
とY伊藤が答えた。
俺は全速力で最短ルートを着たので、先にY伊藤が着けるはずがない。
納得いかなかったけど、見間違えだと思ってその日は気にしなかった。
その日の夜、寝ていたら、額をコツンと叩かれた。
指でキーボードを叩くように、そんなかんじで叩かれた。
俺は
「うわぁー!」
と叫んで跳ね起きた。
自分以外は俺の部屋にいないはずだから、死ぬほど怖かった。
事実、周りをみても誰もいなかった。
あまりにも怖いので、布団を頭からかぶった。
胎児のような姿勢をとり、そのままじっとしていた。
跳ね起きてから2分くらいたったのかな、そのとき、すごい衝撃が襲ってきた。
頭の右前頭部から、左耳の下あたりを、透明なジェット機のようなものが貫通していったようなかんじ。
一瞬だったのだが、右耳から
「ゴオオオ!」
とすさまじい音が響き、左耳に抜けていった。
体全体が一瞬ビクン!と跳ねた。
もうなにがなんだかわからなくて、泣きそうになっていたときに、耳元から、
「余計なこと言うな。」
と聞こえた。
結局その日は朝まで寝れず、親に具合が悪いと言って学校を休んだ。
次の日に学校に行くと、Y伊藤はいなかった。
「昨日おまえが休んだ日に転向していったよ。」
友達が教えてくれた。
いつもとかわりないY伊藤が壇上から別れの挨拶をしたらしい。
あの体験はなんだったんだろう・・。
実話だからオチがないけど、ほんと怖かった。

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