本文の文字サイズ

探偵クラブ

2018/06/06

小学校4年生の時の事。
いつものように登校すると、みんなが騒いでいた。
夜間に侵入者が入り、兎小屋の兎がみんな殺されたのだった。
兎の頭だけが5つ、飼育小屋に並べて置いてあった。
当時はよくあった事件だったので、ついに来たかと、悲しいながらも冷静な気持ちだった。
先生達が校庭の隅に墓を作ったので、クラスのみんなでニンジンを供えた。
殺された5匹の兎達に一本ずつ。
計5本だ。
あくる日、登校して、墓を参りに行った。
墓には昨日のニンジンが無かった。
皆知らないと言う。
そんな時、5年生の飼育委員の人が現れて言った
5本のニンジンが、うさぎの飼育小屋の中にあったと。
しかも、まるで兎が食べたようなかじりかけの状態で。
兎の幽霊がニンジンを食べた!
クラスはその噂で持ち切りだった。
先生達に、その話はするな。と怒られたが、みんなおかまい無しだった。
結局、事件の犯人も、ニンジンの謎も、迷宮入りだった。
時はたち、6年生になった。
新しい兎達も入って来ていて、飼育小屋には活気が戻っていた。
そんな折り、また、殺兎事件が起きた。
早朝登校してきた飼育員の話だと三羽の兎の頭だけが3つ、並べて置かれていたそうだ。
あの時と同じ。
皆忘れ欠けていたのに、またも学校中は噂で持ち切りになった。
俺とクラスの友達数人で、その頃流行っていた、少年探偵クラブなるものを結成し、ガキなりに調査を始めた。
「聞き込み」の結果、学校のすぐそばに住んでいる山根君から、夜中、
「学校敷地内をうろつく見知らぬ人物」
を見たという情報を得た。
その情報を元に、俺達は、次に来る兎を囮にし、犯人を捕まえてやろうと計画を立てた
夏が来て、兎小屋にも新しい兎が来た。
今度はたった二羽きりだ。
不審者の情報をくれた山根君を探偵クラブ仲間に引き入れ、監視員に命じた。
「夜、できるだけ学校の方を監視する」
というアバウトな指令だ。
ある夜、山根君から連絡があった。
学校に入って行く、何か動物を連れた不審者を見た。と。
探偵クラブはすぐさま全員集合した。
武器はバットにスパナにハンマーだった。
静かに飼育小屋の方へ向かう。
いた。男だ。
男が大きな犬をつれて飼育小屋の前に立っている。
物陰から様子を見ていると、男は簡単に鍵を開けてしまい、飼育小屋の中に入った。
そして兎を抱き上げ、何かキラリと光る物を取り出した。
アッ!
と思った瞬間には、ゴロリと、兎の首は落ちていた。
血が勢いよく吹き出ていたのかもしれない。
暗くてそこまでは見えない。
男は、兎の胴体部分を両手に乗せ、大きな犬の方に差し出した。
あれは、猟犬か何かだろうか。
犬は、兎の胴体に喰らい付いた。
男の手から、肉を食いちぎっては噛み、そして飲み込んで行く。
ゴクリ。
俺達はみんな言葉も無く、ただ見ていた。
男が、残った骨らしきものを、透明なビニール袋にいれていく。
そしてそれを持ち上げた。
蛍光灯の光に照らされる。
とてもおぞましい物だった。
それを見て、仲間の一人が吐いてしまった。
全員躊躇する。
その音で、男が気付いてしまった。
こちらを向き、走って来た。
「逃げろ」
仲間の誰かが言った。
その言葉が出た瞬間、みんな一斉に逃げ出した。
走って、走って、山根君の家まで逃げた。
山根君の親に、そしてそれぞれの両親に、そして警察へ、この事は伝えられた。
俺は両親にこっぴどくしかられた。
警察官に話を聞かれた。
俺達は、知っているすべてを話した。
だが、顔が曖昧でイマイチ役に立てなかったのか、犯人は捕まる事が無かった。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

人気作品

人気カテゴリ

RSS