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兄弟三人同じ部屋で寝ていた

2019/10/05

小3くらいの時のこと。
うちは三つ離れた兄と二つ下の妹の三人兄弟で、
その頃は兄弟三人同じ部屋で寝ていた。
ベッドの配置は、
兄用のシングルベッド、
妹と俺用の二段ベッドで、
【兄のベッド】
【二段ベッド】
という横並びの配置。
二段ベッドの振り分けは上が俺で下が妹。
つまり俺の位置からは
寝てる兄が見下ろせるようになってた。
その日も兄弟三人で寝静まった後、
俺は尿意で夜中に目が覚めた。
おそらく深夜2時くらい。
家族も完全に寝ていたし、
怖いからベッドから出れずにどうしようか悩んでいた。
そしたらゆっくりとドアが開いた。
その時の状況を説明しずらいんだけど、
─ドア─────
【兄ベッド】
壁    窓
【二段ベッド】
────────
って感じの部屋。
俺の頭はドア側で、
兄貴の頭は逆のドアに足を向ける向き。
なぜか開いたドアのせいで、
薄暗い廊下の突き当たりまで見える。
それがなんとなく怖くて、
俺は二段ベッドの柵まで布団をかけて柵ごしに外を見る、
という防御態勢(布団に潜りつつ柵の隙間から息ができる)に入っていた。
どれくらい時間が経ったかわからないけど、
薄暗い廊下の奥からゆっくり誰かが入ってきた。
しかも二人。
最初はおかんと親父だと思った。
俺らがちゃんと寝ているか様子を見に来たんだと。
でも少し様子が違った。
なぜかその二人は、
寝ている兄貴の上に乗っかったんだ。
乗ったというより、
兄貴の上で浮いていた。
二人とも下半身がなくて。
一人が兄貴の胸の上に浮いてて、
兄貴の顔をじっと眺めてて、
もう一人はそれを斜め後ろから見守ってる。
その二人は兄貴をしばらくジーっと観察した後、
兄貴の胸に電柱の取っ手くらいの釘(?)を打ちこみはじめた。
意味がわからなかった。
とにかく怖くて怖くて動けなかった。
息を殺して音を出さないように、
こっちに来ないようにと祈りながら、
柵越しにそいつらを凝視していた。
そいつらの風貌は、
兄貴の胸の上で釘を打ってるやつが、
白髪で長い髪の男か女かもわからない年寄り、
もう一人がまんまベートーベンみたいな感じ。
後ろで見守ってるベートーベンの頭は俺から近い。
ほんの少し手を伸ばしたら触れそうなくらい近い。
白髪のロンゲは兄貴に釘を打ってる。
『兄貴がやばい。殺されちゃう』
そう思いながらも怖くて本当に動けない。
徐々に限界が来て息が荒くなってきた。
今にして思えば過呼吸状態だったんだと思う。
「ヒュッヒュッヒュッヒュッ」
と呼吸音が出てしまっていた。
そして次の瞬間、
ベートーベンが見上げるようにこちらを見た。
目が合った瞬間、
ぶわっと俺の目線の位置まで浮かび上がってきて、
俺とベートーベンは柵越しに数十㎝の距離で目が合っている。
見開いた目は青く光っていて、
表情はめちゃくちゃ怒っていた。
『次は俺だ…!俺が釘を刺されるんだ…!』
柵越しに相変わらず目が合っている。
ビビリすぎてもっと息が荒くなる。
「ヒュッヒュッヒュッヒュ」
多分、そこで意識を失った。
気がついたら朝になっていて、
兄貴は胸が痛いと言って学校を休んだ。
俺は余計なことを喋ったら
あいつらがまた来る気がして何も言わなかった。
今こうして書きながらも若干ガクブルしてる。
マジ怖かった。なんだったんだアレ。

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