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温和で優等生な委員長

2018/05/24

中学生の時、課外授業でキャンプをした事があったんだけど、そこでいつも温和で優等生な委員長のA君と一緒のグループになった。
彼はとても人当たりがよく、俺達のグループは和気あいあいとキャンプを楽しんでいた。
夕食の準備の途中に俺は、A君が班を抜けてどこかに行くのを見かけた。
トイレかな、と思っていたがそれからしばらく帰ってこなかった。
その後、ロッジに戻った俺達は昼間の疲れも手伝ってさっさと寝る準備をすることにした。
そしてそのうちの一人が寝袋にシーツを詰め込む途中、何かで手を切ったと言い出した。
傷はけっこう深く、シーツが赤く血で染まっていた。
寝袋をまさぐると、中からナイフが一本出てきた。
A君達がその怪我人を先生達の元につれていってる間俺を含めた三人がロッジに居残っていた。
なんでこんなところにナイフがあったんだろう、という話になって俺は夕食の準備中にA君が途中でいなくなった事を思い出してそれを友だち達に喋った。
みんな口々にそれはヤバい、先生に言った方がいいんじゃないかと言ってると、丁度俺のほうから見える窓からA君が凄い形相で俺の事を睨みながら見ているのが見えた。
俺は驚きの余り、声もでなくて、そんな様子を見た友達たちもA君の存在に気付き、慌てて出口を塞いだ。(鍵なんてなかったからみんなで押した)
委員長は普段からは想像もつかない雰囲気で扉をたたき
「あけろーっでてこい!てめーら殺す」
とわめいていた。
俺らは殺されると思って必死でドアを押さえた。
しばらくたって、見回りの先生がやってきて委員長を取り押さえた。
それからA君は学校に来る事はなかった。
そしてしばらくたってある噂が耳に入った
A君は自らナイフを持っていき、とりあえず誰でもいいから身近にいたやつを刺すつもりだったらしい。
窓から覗くA君と、もしかしたら刺されていたかもしれないと思うと今もまだ恐ろしい。

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