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真の邪悪

2024/01/14

大学時代の変わった友人の話がある。

友人を仮に平岡くんとしておく。
平岡君は医者の息子で容姿端麗で頭がよく礼儀正しくスポーツもできる、まあ完璧な人間だ。
一緒にいると嫌になるくらい完璧だ。嫌味がないのがまた厭らしいくらいに。
社交的なのもあっていつも周りは人で溢れてる。

俺はオカルト好きでまあ、言わずもがなあまり冴えない方だが、平岡くんが何やら気に入ったらしく良く一緒にいた。
たまに平岡くんみたいに産まれたら人生楽しいだろうなとか思ったけどね、根っからの根暗な俺はブックオフで買った魔術書とにらめっこしてる方が心底楽しかった。
そんなんだから一緒にいたのかもしれないけどね。

でまあ、一緒にいるとお互いに色々な面が見えてくる。
第一に気になったのは平岡くんは異常に女っ気がなかったこと。
次に動物が近寄らないことだね。

女に関して言えば平岡くんが敢えて避けてた気もする。
けど動物は違う。怒るでも逃げるでもなく、平岡くんを見ると一切動かず伏せるような感じになる。
赤ちゃんもそうなんだが、泣いてる赤ちゃんも平岡くんに気づくと目をまん丸にしてジーッと見つめるんだよ。
実際人並みならぬオーラを放つ平岡くんだから、人間に成りきってない赤ちゃんとかには平岡くんのオーラがよく感じとれるんだろうね。

ある日、オカ研(非公式サークル)のメンバーが自称霊能力少女を連れてきた。
霊能力少女とは言っても我がオカ研の連れてくるゲストだから、その道ではちょっと有名な人らしい。
かなり本物っぽいというお墨付きだ。

その娘としばらく対談したあと、おもてなしがてら皆さんで食事へ行くことになった。
彼女は18歳だったから酒は抜き。俺は、なんとなしに平岡くんを誘おうという気になった。
霊能力少女が地味ながらそこそこに美人だったからだ。
平岡くんは実は地味な子が好みかもしれないと考えた。

さて、平岡くんも参加し食事会が始まった。
場所は当然ながら霊がでると噂のレストラン。
彼女の霊能力を試すために秘密にしていたがちょっとした曰がある。
霊能少女は特に霊を気にする素振りもなく、ちらちらと平岡くんを気にしていた。
面白い展開になってきたと思ったね。

かと思えばいきなり彼女が言うんだよ。
「平岡さんは何者ですか?」と。
平岡くんは
「みんなと同じ大学生ですよ」
と答える。
二人の会話はそこで終わった。

で帰り道、我々はごちゃごちゃ並んで少女を駅まで送りに向かった。
途中、平岡くんが少女の近くに寄った時言ったんだよ。
「それ以上近寄らないでください」と。
平岡くんには悪いがメンバー大興奮だね。平岡くんは表情一つ変えず「ごめんね」と言った。

で、後日談なんだけど平岡くんは呼ばないと約束して少女を再度呼び出した。
そして、訳を聞いた。彼女曰く
「平岡さんは真の邪悪です」
「霊とかそういうのではないから私にもよく分からない。けど、悪意を持った霊ですら彼に畏れおののき頭をたれてひれ伏していました。
異様な光景でした。彼はきっと何か使命をもってこの世に産まれてきたのだと思います。一言で言えば尋常じゃありません」

要約するとこんな感じですね。
当然ながらオカ研には箝口令が敷かれました。
只でさえ立場の低い我々が平岡くんの悪口を言ってるなんて噂になればたまらないですからね。

卒業から六年経ちましたが、平岡くんとは一回も連絡をとっていません。
敢えて連絡を取らなかった訳ではなく、平岡くんは卒業と同時に携帯番号も住所も代えてしまったので誰も彼の行方が分からなかったからです。

なぜ今さらこんな話を思い出したかと言えばニュース番組を観ていて彼を見たからなのですが。
事件とかじゃなくね。政治系のニュースで画面の片隅に映っている平岡くんを確かに観ましたね。

特に怖い話じゃなくてすまないけど、平岡くんは別の世界の人なんだなと何となく思いました。

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