恐ろしい夢を見せて差し上げます
2022/11/28
結構前の事なんだが。呪術カテの痛い連中らが集って「霊視する」「式神を飛ばす」だのいわゆる電波さんスレがあった。
俺は釣られた、というか叩きたかったからそいつらに罵声を浴びせた。
そしたらそこの古株、と言うかスレ主みたいなヤツが出てきた。
「見えないモノは信じられませんか?」
「別に信じなくてもいいから出ていって下さい」
とか電波さん特有の開き直り方。
妙に落ち着いてて腹が立ったから釣られて「証拠をみせろ」なんて見せられるわけ無いと思ったから釣られた。
「でしたら貴方のお母さんに今夜恐ろしい夢を見せて差し上げます」
「ハァ?なんで俺じゃないわけ?」
「予備知識や思い込みのせいにされてはたまりませんから」
「わかった」
「そのかわり成功したらもう来ないでください」
そう言うことになった。
俺はその日は放置してそんなことも忘れて寝た。
次の日の朝、俺の母は起きてこなかった。
俺はおかしいと思って起こしに行った。
母は起きたものの涙を目にためてガクブルしていた。
しばらくして落ち着いたら母は朝御飯を作ってくれた。
少し恥ずかしそうに母は「ごめん」と言って今朝の話をしてくれた。
夢の中で母は朝靄の森の中で目を覚ましたそうだ。
土や苔の匂いがリアルで、それでいて「あ、夢なんだ、これは」と気が付いたそうだ。
するとすぐに藪の中から大きな狐が出てきて母の抵抗も虚しく腕も足もズタズタに噛み千切っていったらしい。
リアルな痛みで母は森の中で目を覚ます。また噛まれる、の繰り返しで俺が起こすまでずっと見ていた、と言っていた。
「ごめんなさい。貴方は本物でした。もう来ません」
そう書き込んでしばらくロムっていた。
その古株は「人を苦しめるために使うなんて最低だ」
「どうせ自演」と叩かれていたが、あんな電波な中にも本物はいるもんだ、と思った。
母はそれ以来別に変わりなく普通だが、なんか俺の軽い気持のせいで悪い事したな、と思った。
ちなみにその古株の式神は狐と猿と蛇だった。