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深夜のPAで焦げるような臭い

2022/10/16

某県を通る高速自動車道上のPAでの出来事です。
これは体験談でありマジな話です。

あれは今から4年程前の11月頃だったか。
溜まった仕事を片づけ、久しくなかった連休を利用してロングツーリングに出かけようとした時のことだ。
仕事ばかりでバイクからも遠ざかっていたため、少しでも長くツーリングを満喫しようと、仕事から帰ってすぐに仮眠を取り、深夜1時頃に自宅を出発した。
秋も終盤へと向かう時期であり、高速に乗った頃にはうっすらと霧が発生したことを覚えている。
2時間程走った頃だろうか、服の間から吹き込む冷たい風にすっかり体が冷えてしまったこともあって、トイレへ行きたくなってしまった。
あと50km程行けばSAがあることはわかっていたが、我慢できそうもなかったので、5km先のPAでとりあえずトイレだけ済ませてしまうことにした。このとき、時刻は深夜3時半ほどだったと思う。
時間が時間だけに、PAに人影はなく、広い駐車場の片隅に一台の営業車と思しき白い車が停まっているだけだった。おそらく仮眠でもしていたのだろうが、薄くただよう霧に阻まれ、車中の人影までは確認できなかった。
そのPAは、簡易なもので、自販機が三台とその前にベンチが二つ、そしてそこから10mほど行ったところにトイレがあるといったものだった。
私は、自販機正面の駐車スペースにバイクを停め、寒さで縮こまった手足を伸ばしながらヘルメットとグローブを外した。そして、ゆっくりとトイレに向かった。このとき、周囲に人影はなかった。
トイレに向かいながら、ついでなので大きい方もしてしまっておこうと考えたのだが、これがそもそもの間違いだったと思う。トイレの中は、一般的なPAに設置されているようなもので、さほど綺麗なものではないが、さりとて汚すぎるというほどでもなかった。
そのトイレの一番奥の個室・・・ようは大の方に入ってから数分した時のことだ。外に人の気配を感じたんだ。気配というか、人の息づかい、足音、服の擦れるような音がが聞こえてきたわけだ。
正直言って、薄くかかる霧や、他に誰の人影も見えない深夜のPAで少し不安な気持ちがあったと思う。 だからこのとき、ああ、他にも誰かこのPAに入って来たんだな、と少しほっとしたことを覚えている。
しかし、何か様子がおかしいことに気づいた。
というのも、その気配の持ち主の歩く音やかすかに聞こえる息づかいに何か違和感があったのだ。
それだけではなく、小便をしている様子でもなく、かといって他にあいている大の方に入った様子でもなくどうやら私の入っている個室の前にいるとしか思えなかったのだ。
しかし、外の様子が見えるわけでもなく、単なる気のせいと思うことにした。
だが、違和感はそれだけに留まらなかった。不意に何かが焦げるような臭いが漂い始めたのだ。
その瞬間、私の入っていた個室の戸を外からガタガタと叩くようなひっかくような音がトイレ内に響いた。
はっきり言って、心臓が一瞬とまったし、自分の耳で聞こえるくらいに心臓がドクンドクンした。
と、個室の天井の方から、
「・・ふぇ・・ふぇぇぇぇぇ・・・ふぇぇぇぇぇぇ」
という何かが気管に詰まっているような吐息とも声とも言えない音が聞こえてきた。
私は、見てはいけない見てはいけない、と思いながらも、
次の瞬間の ガタン! という音に驚いて思わず見上げてしまった。
そこには、火で縮れたような、真っ黒い髪を振り乱し、顔半分がケロイド状の火傷をおった女性とおぼしき人の顔があった。ここで、私は気を失った。
次に気づいた時、私は大便をしたまま吹いてもいないおしりをトイレの床につけ、個室の壁にもたれかかるようにして倒れていた。慌てておしりをふき、ズボンを吐いて飛び出すようにトイレをあとにした。

いったいあれはなんだったのだろうか。
それにしても便器に落ちなくてよかった。

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