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バラバラに散らばる

2022/09/06

中学時代にそいつ(仮にKとするよ)含む友人数名で遊びに行った。背伸びしてちょっと大きな駅まで行ったんだが、何せ田舎者のガキ。見るものすべてが珍しかった。

そのうちの一つが、道端の占い師。テレビでしか見たことないその存在が気になって、みんなで占ってもらおうという事になったんだ。

んで当時、そのKには好きな女の子(仮にAとする)がいた。
仲間内では周知の事実だったため、Kの恋路を見て頂くことになった。

「僕の恋の行く末を占って下さい!」
「はい、わかりました。」

占い師はしばし目を閉じ2分ほど経過した。
それから目を開いてKを見つめ困惑の表情を浮かべた後、なぜか俺を見た。俺はバツが悪くなって目をそらした。

「占いの結果ですが、お連れの方が多いですね。あなただけにわかる形で伝えた方がよいかもしれませんね。」

占い師はため息をついてつづけた。

「あなたの今一番好きな歌は何ですか。 答える必要はありません。心当たりはあるでしょう。 最近繰り返し聞いている曲です。」

Kがその答えに訝しんだが、心当たりはあるらしく、はい、と返事を返した。

「ではその歌の最初の一文が、あなたの恋の結果です。」

Kは目を見開いた後、うつむいた。俺は内心、やっぱりな、と思った。実は俺はAと仲が良く、Kの後押しのつもりでこっそり聞いたことがある。

AはKに興味がないどころか、毛嫌いしている事を知っていた。その後は普通に遊んだが、Kと二人になったタイミングで、占い師の言葉についてKに聞いてみた。

「今一番好きな歌ってなんだったの?」
「ラルクの『花葬』」

かける言葉なんて最初からなかったけど、こればかりは絶句した。あの占い師本物だったんだ。
その次の週、一人で占い師のもとに向かったけど、いなかった。それからもう15年経つけど、その占い師を二度と見かけていない。

ま、そんな話。死ぬほど洒落にならない話ではないかもだけど、箸休め程度に聞いてくれたらうれしいな。

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