霊が封じ込められている納屋
2021/12/30
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つい最近怖い体験してさ、すごい話したいから書くわ。
俺は自営業の手伝いしてんだけど12月の始めに長めの休日をもらっんだ。正月は忙しくなるので、いい機会だと思って半年振りくらいに実家に帰ったんだ。やっぱりこっちは雪が多いとおもったね。
次の日、家でゆっくりしてたら雪かきでもしろと言われ俺もいい子ちゃんだから雪かきをしていた。そしたら成り行きで、近所の老夫婦の家の雪かきもすることになったんだ。雪かきは結構疲れるから老体にはつらい。
老人には優しくする俺は快く雪かきしにいったんだ。俺が「うぇーい、ばあさん!!この俺が雪かきしにきてやったぞ」というとばあさんが「あ~あ~ヒヒッ」と言いながら乳母車引いて外に出てきた(俺の故郷は足が悪くなった婆は乳母車引いて歩く)。
最近ボケ始めてきたらしいが、俺のことは覚えていてくれて少し嬉しかった。俺が雪かき始めると、ばあさんは座って昔話を語り出した。この婆は語り部っていうのか?よく村の児童館みたいな所にきて昔話をしていた。
最近はこの大きめな村でも小学生が52人しかいないそうで児童館がなくなったからこの婆も語り部は辞めたみたいだけど。とにかく昔話を話すのが好きなばあさんは、今日は俺の家について話し始めたんだ。
いつもは○○助が腰ぬかしただの、あの山から鬼がきて悪い子をさらっただのそういう話しかしないから少し興味を持ち、話を聞いた。「なの家(お前の家)はNの姫が武士に殺された場所でな(Nは俺の本家の苗字)呪われとる」という話だった。そんな話を祖母祖父からも聞いたことがあり、俺は好奇心が湧いて更に詳しく聞きたいと思い、家にお邪魔することにした。家はなんか石鹸みたいなにおいがした。ばあさんは俺にココアを出した。
なぜか隣の家のばあさんとその奥の家のばあさんも来て、3人の話を俺が聞く形になった。ハーレムかもしれないが、俺はまったく嬉しくなかったぞ。ばあさん達の話は世間話が多く、あまり進まなかったからまとめるとこうなる。
その昔(150~200年くらい前だと思う)、N(俺の爺さんの実家)家は地主だか村長だった。その娘(姫ではない)はたいそう可愛いらしかったんだそうだ。そんで、その娘は山に山菜を取りにいき、そこで数人の山伏(本当に山伏は知らん)と会い、大変失礼なことをしてしまった。激怒こぷんぷんな山伏はその娘を殺そうとしたらしい。娘はがんばって逃げたけど、丁度俺の家あたりで首をはねられて殺され、その死体は柿の木に縛り上げられた。それをみた地主はたいそう悲しみ、その土地に別荘を建てて供養したり(供養になってんのかな?)、山に人を寄らせなくしたんだそうだ。
まとめるとこういった物語だった。つっこみどころもあるが色々心当たりがあり、なんだか俺はこわくなった。だって俺の家の裏庭に柿の木があるんだもん。小さいけど。
話を終えて、その家を後にした俺は自分の家に帰るのが怖かった。祖母にその話をすると、祖母はさらに俺の家について詳しく話してくれた。この家には元々本家が住んでいたが、あまりにも呪われていたから俺の祖父に家を譲ったらしい(一回立て替えて現在築46年)。
その呪い?というのが、水気のない廊下が毎朝濡れていたり主人が病気になったり、夜に砂利を踏む音が聞こえたり、犬がほえたり子供をそこで育てると死ぬとか、なにより小さい納屋みたいな所から変な気配がするというものだ。
思い当たる節がおおすぎた。砂利を踏む音を聞いたことはあるし小さいときから納屋だけは近寄らなかったし、本家に婿入りした男は病気で死に俺の爺さんも病気で死に、俺の父上も病気になった(現代医学のおかげで助かった)。
濡れてることに関しては次の日の朝ポケモンみる前に調べたら確かにほんのり湿ってた。子供に関しては良くわからなかったけど、こりゃヤバイと思ったね。
そんなだから俺の母親は、兄が生まれる前に霊媒師だかに納屋を御祓いをしてもらったんだそうだが、「手に負えない、もっとすごい人を連れてくる」といったきりなんだそうだ。そんなこともあってか俺は3歳まで別の実家で育てられた。無論兄弟も3歳までは別の家で育てられた。この情報は割りとどうでもいいか。
とにかく俺は怖くなって一度もあけたことが無かった納屋をあけて調べてみることにしたんだ。でもおれは筋肉ムキムキじゃないから丁度同じタイミングで家に帰っていた元ラグビー部の兄と、まだ学生の小太りな弟の3人でパーティーを組んで納屋に突入することになったんだ。
兄は金属バットと懐中電灯を持ち、俺はガスガンとピーナッツを装備し弟はライト付きのビデオカメラを回す役割だ。俺と兄はすごいビビリだったからなぜか武器を持っていた。俺は緊張してなのか、ピーナッツが幽霊とかに効くと思い込んでいた。アホだ。
兄、俺、弟の順番で狭い納屋に入ることになった。俺は入ってすぐ納屋の中を見渡した。色々散乱していたが、目に付いたのは一番奥のつづら?と白黒テレビ(だと思う)とレコードを再生する機械だった。壁には昭和っぽいポスターが貼られていた(女性が何か持ってる絵、顔と手の部分が破れてよくわからんかった)
兄は物に邪魔されて先へ進めないようで、俺は出入り口付近で立ち止まるしかなかった。肝心のビデオカメラを回してる弟が中に入れないでいた。床を見ると昭和37年だかの新聞があった。兄が一歩進んだので俺も一歩進む。
その時兄が悲鳴を上げた。俺もびびって下がったら、グニャリとしたものを踏む感触があった。ブヨブヨで弾力があり、今思うとオナホ踏んだときの感触に似ていた。こけそうになって足元をみると、黒?茶色?の液体が靴に絡み付いていた。
ファァアアア!!ってシャウトして俺はすぐ後ろの弟に抱きついて納屋を出た。そのあとから兄がもうダッシュして家に逃げた。俺もすぐに逃げた。弟はたてつけの悪い納屋の戸を閉めてから来た。
家で落ち着いていた弟が兄から話を聞くと、兄はカァ~という女っぽい声が聞こえて手をつかまれたと言っていた。俺が液体のことを話すと兄はすごいビビッていた。その後婆様からお叱りを受けた。その時俺が「でもあの柿の木人縛れるほど大きいか?」と言ったら、あの木は雷で一度折れたが、また生えてきたとのこと。すごいけど、どこか恐ろしい柿の木だ。
俺はもう一日実家にいる予定だったが、怖くて自分のアパートに帰った。道中は聖飢魔ⅱを聴き、ポケモンの羽化作業に没頭して恐怖を紛らわした。アパートについてから1日後、兄から電話がかかってきた。兄は震えた声で見たといってきた。なんでも納屋を外側からみたら、窓に中からべったりと女が張り付いていたそうだ。怖くて聞きたくなかったから電話を切った。兄のバーカ
その後のことはよくわからないし、俺も納屋のアレがなんだったのかはまったくわからないが俺の仮説ではあの納屋に霊が封じ込められているんだと考える。現実の話だからオチとかなにもないけど、書いたら恐怖心が薄れた気がする。聞いてくれてありがとよ。