あれは霊のしわざか催眠術か
2021/10/09
他愛も無い話しなんで、投下してもいいか分からんけども。
俺にはオカルト好きの友人がいる。
高校で知り合った奴で、とにかく怖い話だとか心霊スポットだとかの知識が凄い。
話し上手だから色々聞いて、すぐに仲良くなったんだけど、そいつ絡みのいくつかの話の一つ。
俺はJRで高校まで行ってたんだけど、友人はそこが地元で、学校帰りにそいつの家でオカルト話ししてたんだよ。
怖い話とか、心霊スポットだとか、そんな話。
そうすっとさ、俺、何か知らないけどグラグラ揺れてたんだよ、左右にグラグラって。
でも、全く霊的な感じがしなかったんだよな。
と言うのも、座ってる時に深呼吸とかすると、酸素がまわってるのか、体が揺れたりする事がたまにあるんだよ、俺。
で、気にしてなかったんだけど、友人が「揺れてるよ」とか言うから「おう」とか流してたわけだ。
そしたらそいつが顔を寄せながら聞いてきたんだ。
「それ、止められる?」
何をバカな、と思ったんだけど、そう思った途端、急に体が言う事聞かなくなったんだよ、揺れたまま。
「あれ?あれ?」とかなってる俺を見て、さも楽しそうに言うんだ。
「よくいるらしいんだ、そんなのが。ほら、後ろから人に声かけたり気付いて欲しかったりしたら、よく肩を叩いたり揺すったりするじゃない。あれと同じらしいよ」
そんな話しを聞いている場合では無かった。
本当に止まらないんだもの、まだ表も明るかったし、変なモノ見聞きしたわけでもないのにビビっちゃって。
「どうしよう!」とか言って彼を見るも「俺もオカルト好きだけど、オバケのやっつけかたなんて知らないしなぁ」とか言ってる。
次いでこうも言った。
「止めて欲しいんなら、素直に止めてって言ってみれば?」
変な人だと思う、けども当時の俺は真に受けて「止めて!お願い!」とか言ってた。
左右に揺れながら「止めて!」とか面白すぎる光景だったと思う。
しかし、妙な事にそこでビタッと揺れがおさまった。
肩に感触があり、見てみると、友人が俺の肩を掴んで支えていた。
「催眠術で、手を開かせなくするやつがあったけど、あれと似てるのかもね」
そう言ってそいつはまたオカルト話を再開させた。
今でも思う。
あれがオバケだったのか、友人の巧みな催眠術の類だったのか、分からないけど。
でも、あんな明るいうちに、人一人が本気でビビる霊体験(?)をさせられるそいつが、ある意味オバケよりも怖かった。