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生徒相談室での降霊会

2021/07/08

これは、私と中学校の後輩が体験した怖い話です。

その頃、私は中2になったばかりだったのですが、小6の1月(卒業式2ヶ月前)に今の町に転校して来た為、小学校からの同年代の友達があまりおらず、もっぱら後輩や先輩とばかり遊ぶ様な生徒で、その中でも、特別に仲の良い後輩が二人いました。

仮に、AちゃんとBちゃんとします。Bちゃんのおうちは今で言うセレブで、休みとなればよく海外から国内まで様々な所に旅行をするおうちだったのですが、ある旅行から帰ってきたのを境にBちゃんがおかしくなり始めたのです。

まず、些細な変化が始まったのは帰ってきた三日後でした。とても真面目で普段居眠りなどしないBちゃんが居眠りをよくする様になったのです。しかも、毎授業。

先生も、最初は、旅行疲れか?などと笑っていましたが、旅行から一週間経ったある日、居眠りをしていたBちゃんが奇声を上げ始めたのです。その声は1階上にある私のクラスにも聞こえて来る程でした。

その時になり、先生も少しおかしいんじゃないかと考え始めていたようなのですが、ことなかれ主義が蔓延る小さな町の中学校だった為また、地元の名家であるBちゃんの実家が大事にしたがらなかった為、Bちゃんの居眠りや奇声は過度の睡眠不足によるストレスのものだろうと判断されてしまいました。

しかし、それからもBちゃんの奇声や居眠りは止まる事はなく、更に、ある日、居眠りをしていた筈のBちゃんが奇声をあげながら目を半開きにして前の席の子の首を絞めるという事態に発展してしまったのです。

事がここに至り、校長もやっと重い腰をあげ、話し合いの場を持つ事になったのですが、Bちゃんへの対応は学校に併設されている相談室にて授業を受けるように、というものでした。

そして、Bちゃんは相談室で毎日授業を行っていたのですが、そこで、相談室常連のサボり魔だった私とAちゃんと出会ったのです。

居眠りをしている時やそれに伴う奇行以外はBちゃんは本当に良い子で、私達は直ぐに仲良くなりました。そして、仲良くなるにつれ、私達二人はBちゃんを助けてあげたいと思う様になりました。

奇行に悩むBちゃんは家の面子を保とうとする親と、学校の体裁がある学校、白い目で見られることへの辛さなどで今にも壊れてしまいそうに見えたんです。

そんなある日、Bちゃんが最近同じ夢を見ることを私達に相談してきました。内容はいつも同じで、頭から血を流して悲しげな顔をした幼い女の子が自分を見つめてくる夢だそうです。

その頃、頭がお花畑でどっぷりオカルトにはまりこんでいた私と後輩は、きっとそれは悪い幽霊に違いない!Bちゃんを操って悲しませているのもそいつだ!祓ってあげないと!と妙な正義感にかられ、行動を起こしたのです。

それは生徒相談室での降霊会でした。

まず、白い折り紙で玉串を作りました。そして、相談室の四隅に四神の名前を書いた紙を張りました。(漫画で読んだ結界を真似しました)

そして、私は、当時愛読していた漫画、ゾ○ビ屋の呪文を真似をし、相談室で居眠りを始めていたBちゃんに向けて唱えたのです。

結果は成功でした。

Bちゃんはこの世のものとは思えないうめき声をあげ、私の首を絞め始めたのです。まさか漫画の呪文が成功するとは思っていなかった私達は完全にパニックになりました。

その力は後輩の女の子とは思えない程強く、私は、遊び半分でこういうことをするんじゃなかったと後悔し、死を覚悟しました。

しかし、Aちゃんが玉串をBちゃんにつけて祓うしぐさをした途端、Bちゃんの手が緩んだのです。その隙に私は逃げ出し、Bちゃんを振り返りました。

白目をむき出して呻くBちゃんの姿はとても今までの可愛らしい後輩の姿ではありませんでした。馬鹿な中学生だった私達にも、その姿は明らかにこの世の者ではないナニカが憑いている、と直ぐにわかりました。

今でも夢に見る位恐ろしかったのですが、その時は、大切な友人であり私を頼ってくれた後輩を助けたいという気持ちが勝り、私はBちゃんに憑依したナニカに話しかけてみたのです。

『貴方は何者なのか?』

私のその質問に、ナニカは『ゆまり』と答えました。そして、紙と鉛筆を求めて来たのです。そこには漢字で夕鞠と書いてありました。それがその霊の名前だそうです。

そして、話した結果、小学5年生ということが分かりました。私達は夕鞠に何故Bちゃんに憑いているのか尋ねました。以下、夕鞠から聞いた話です。

夕鞠は実は誘拐されて殺された女の子の霊だった。誘拐されて首を絞められて一回は仮死状態になったが、犯人が夕鞠の体を遺棄する為に道端に捨てられた時、地面に強く頭をぶつけたショックで息を吹き返した。

しかし、それを犯人に見られ、車で何度も轢かれて完全に殺害されてしまった。それだけでも私達には衝撃だったのですが、なんと、その夕鞠が轢かれて殺害された場所でBちゃんが旅行中にひき逃げ事故にあっていたのです。

そして、同じ場所で同じ様な事故にあったという事でBちゃんと夕鞠が繋がり、Bちゃんに夕鞠が憑いてきてしいまったという事でした。

そして、夕鞠は紙に何かを描き始めました。数分後、完成したソレを見て、私達は驚愕しました。そこには大人の男性の顔が描かれていたのですが、その時の私達には何故かそれが夕鞠を殺害した男性であると一瞬でわかりました。

そして、夕鞠は犯人を捕まえてほしいと私達に頼んだのです。Bちゃんに取り憑いた理由も犯人を捕まえて欲しかったからと。しかし、一介の中学生である私達にはそんな事を言われても直ぐにどうにかする事は出来ず、夕鞠と話してから数ヶ月が経ってしまいました。

すると、ある日、Aちゃんのお母さんから深夜に電話がありました。友人と某鼠の国に演奏に行っていたAちゃんが突然、夕鞠が泣いてる!!と叫んで走り去り、いなくなってしまったのです。私は直感で、夕鞠が痺れを切らしたんだ、私達が何もしないから、と感じました。

結局、Aちゃんは鼠国から離れた綾瀬で見つかったのですが、綾瀬までどうやって行ったのか、その記憶はなかったそうです。

次は自分かも。そんな危機感を感じた私は、親に内緒でAちゃんと夕鞠の殺された場所に向かう事にしました。(うちの親は放任主義で遠出OKな家でしたし、Aちゃんの親はオカルトに詳しい人だったので事情を話したらあっさり理解してくれました)

出発当日まで、家の窓ガラスに夕鞠と思しき少女がうつったり、電池を抜いてある喋るぬいぐるみが喋りだしたり、テンプレなポルターガイストは毎晩ありました。

そして、私とAちゃんとBちゃんは夕鞠の殺された場所にいき、お花を供えて手を合わせた後、夕鞠の家へ向かいました。

そこには、夕鞠から得た情報と全く同じ家がありました。私達は、そこでBちゃんの身に起こっていることと犯人についてを包み隠さずご両親にお話しました。そこで、ご両親と一緒に警察に行きました。あくまで情報提供で、霊から情報を得たとは言いませんでしたが。

結果、犯人は逮捕され、私はポルターガイストから解放され、Bちゃんもすっかり居眠りをしなくなりました。居眠りをしなくなったBちゃんはすっかり以前の様に明るく元気な女の子に戻りました。Aちゃんも突発的に行方不明になることは二度となく、平和が戻りました。

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