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足にしがみついていたのは

2021/03/30

中学生の頃の話なんだが、俺が住んでる町に廃墟があったのよ。3年生の夏休みに夏期講習の帰り俺と友達3人と合計4人で肝試しに行った。

町外れの方にあるんで周りは畑とか田んぼが多くて、夕方の早い時間帯でまだ明るかったせいもあって遠目にはのどかな感じだったのを覚えてる。

それでも家の門の前に行くと結構雰囲気があった。

ブロック塀は落書きだらけだし庭の様子は草が伸び放題で荒れてて、家のほうも古い農家見たいな感じで屋根とか所々抜けてた。

玄関から中に入ってみたらまず土間があって、部屋に上がるところに汚いサンダルが落ちてた。

皆で土足のまま上がって一通り回ってみると予想通り中も荒れてた。壁の漆喰ははがれてて残ってるところにもスプレーで落書きがあったり。

ちょっとした探検を終えて気持ちが大きくなっててよせばいいのに、そのまま4人で居間らしきところで囲炉裏を囲んで話し始めた。

気が付いたら外は暗くなってきてて、一人が新聞紙とか持ってきて何故かもってたライター(笑)で囲炉裏に火をつけてタバコを吸ったりしながら話してたんだが、いきなり土間の向こうの玄関からガタガタと戸を動かす音がした。

皆ハッとして土間の方をみた。

俺は最初は幽霊とかそんなんじゃなくてトッポイ兄ちゃんが来て驚かしてるのかと思ってビビッた。落書きがいっぱいあったし、喧嘩弱いし。

んでも誰も入って来ないのよ。

いつのまにか外は完全に夜になってるし・・・。じわじわ怖さが来て冷や汗がダラダラでてくるし・・・。

しばらくの間皆無言で固まってたんだが、そのうち一人が恐る恐る立ち上がって土間の方へと歩き出した。

でも土間にたどり着く前に「アッ」とか行って行き成りそいつが転んだ。

そしてそいつが足元を見てもうありえない声で
「はああああああぁぁぁぁぁ・・・」
って声をあげた。

俺ら3人は転んだことよりその声に驚いてそいつの目線を追って足元を見た。最初は何かわからなかったんだが何かがそいつの足にしがみついてた。

ギョッとしてみたら白髪の老婆らしき人の上半身がしがみついてた・・・。火の照り返しで回りは赤く見えるのに何故か老婆だけ青白かった・・・。

今度はこっちが
「はああああああぁぁぁぁぁ・・・」
って声をだして・・・。

2人がかりで転んだ奴を無理やり引っ張って逃げ出そうとしたんだが、ものすごい重いというか力で引っ張られるというか・・・。

全力で引っ張って外に出たら外は外で大変だった。先に1人転んだ奴を無視して逃げたのがいたんだがそいつが出会い頭で走ってきた原チャリにぶつかってた。

原チャリの運転手が携帯で警察よんだり救急車よんだりで結構な騒ぎに・・・。俺らは学校の先生に親と一緒に呼び出されてこっぴどく叱られた。不法侵入で火も焚いてたし、で警察にもしっかり説教くらった。

原チャリにはねられた奴は右足の複雑骨折、今も足にボルトが入ってて引きずりながら歩いてる。他の3人も皆右足に怪我を負った。

おれは体育のバスケで着地の時に膝を捻って靭帯断裂。足を掴まれた奴は自転車に乗ってて車をよけようとして側溝に落ちて大腿骨折。

もう一人は歩道橋の階段で踏み外して足首の靭帯断裂。掴まれた奴によると掴まれたのは確かに右足で3日くらいは手形っぽく痣が残ってたって言ってた。

それ以来その廃墟には行って無い、というか怖くて前も通ってない。

長文すまん

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