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とまどう幽霊

2021/01/16

僕が体験したことなのですが、後述するように自分では感知できなかった話です。

今から12年くらい前、バイトしていた会社の社員さんが「一緒に飲みに行こうよ」と飲み屋さんに連れていってくれたんです。深夜まで飲んだので、「今夜はうちに泊まっていけよ」と言ってくれて、その人のアパート(すぐ近く)まで歩いて行ったんです。

6畳3畳くらいの1DKで、部屋にベッドがあり、その社員さんがベッドに、僕はすぐ脇の畳に布団を敷いてもらって寝ることになりました。だいぶ酒を飲んでいたので僕はすぐに熟睡し、翌朝、窓からの日と小鳥の声で目を覚ましました。

ベッドで寝ている社員さんに「お早うございます」と言うと、彼は「ゆうべ、寝られた?」と心配げな顔で聞くのです。「ええ、ぐっすり」と答えると、「本当に?本当に寝られた?」と真顔で聞いてくる。どうしたのかと思ったら、「ゆうべ、一晩中、君の回りを歩き回ってたやつがいたけど、気づかなかった?」というのです。「いやあ、ぜんぜん。」

社員さんによると、この部屋は前から『出る』らしく、彼が仕事から帰って電気を消して寝ようとすると「パサッ」と服を脱ぐような音がしたり、なにかいるような気配がしたり、さんざんあったそうなのです。その日は、いつもと違う人間(僕)が来たので、幽霊さんが気になって(?)僕の周りを歩いていたようなんです。

社員さんは可哀想に、一睡もできなかったとのこと。僕のすぐ身近で起きていながら、まったく自覚がないと言う(笑)、そんな話です。

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