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フランチャイズの居酒屋でバイトしてた

2019/09/27

まだ高校生の頃、当時首都圏では有名なフランチャイズの居酒屋でバイトしてた。
先輩のお姐さん達も年が近く、厨房の板さん達も口は悪いけどすごく優しかった。
店内は一階がカウンター席とファミリー席。
普段使わない二階がコの字形の大きなお座敷で、コの字の右側をふすまで仕切って、手前から1番2番、コの字の左側の大座敷は取り敢えず4番5番と呼んでいた。
その奥、1,2,4,5を繋ぐ通路の右、2番の奥に3番座敷があった。
二階には更衣室がある為、出勤・帰宅時には必ず二階に行かなければならないんだけど、何故か座敷の方にえも言われぬ威圧感を感じて、常に座敷の方は見ないようにして更衣室を使っていた。
ある時、一階満員で二階にも沢山のお客さんをお迎えする事になり、私一人で二階に上がった。
一階からエレベーターで上がって来る料理をお出ししたり、飲み物のオーダー受けたり、3番以外の部屋全てにお客さまが入っているとは言え、そんなに大変な仕事では無かったので、暇を見て客室に背を向ける形で客室順のオーダー伝票を整理していた。
とその時、左耳の後ろから、若い女性が三味線を弾きながら長唄らしきものを唄っているのが聞こえ、「粋なお客さまもいるんだな」と思い、仕事を続けた。
しかし、その後どの部屋に伺っても三味線を持った若い女性はいない。
不思議に思って、たまたま様子を見に来てくれたお姐さんに事の次第を告げると顔色を変え、「板場の■■さんに今の話しといで」と、問答無用で板場へ行かされた。
板場でその話をすると、いつも威勢のいい■■さんが神妙な顔つきになり、付いて来いと言う。
言われるがまま付いて行くと、二階の左右の座敷を繋ぐ通路の前まで来た。
通路はふすまが閉められ中は見えない状態だったが、■■さんが無言のままふすまを開いた。
そこには明らかに『お浄め』と思える水・酒・塩がトレーに供えられていた。
訳がわからないまま■■さんを見ると、ポツリポツリと経緯を話し出した。
この通路と繋がっている3番は普段お客を入れる事が無い座敷で、主に店の人間が店を閉めた後、会計をするのにこの部屋を使用しているそうだ。
しかし閉店が11時で、片づけを終わらせて会計作業になると12時をまわっている。
疲れた身体で会計作業を終わらせ、そのまま座敷で眠ってしまう事もあったと言う。
だがこの部屋にいると、必ず誰かの視線を感じると言う。
視線だけではなく、隣に座る気配、そして白粉の匂い。
会計を担当する人間全てがこの不可解な感覚に遭遇し、社員の間で頭を悩ませていたらしい。
■■さんはそれで昨夜、この『お浄め』を置いたと言う。
「これで納得してくれたと思いたいんだがな」と言う■■さんの言葉の指すものが、私の聞いた唄声かはわからない。
ただ、この店のある場所が、昔は女郎街だったのは確かだ。

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