ぴーちゃん
2019/08/09
子供の頃から、独りでいる時に限って
家族間の愛称で呼びかけられて注意される。
私は子供の頃ぴーぴーよく泣く子だったので
『ぴーちゃん』とあだ名がついていた。
一番初めは幼稚園に行きたくなくて納戸に隠れていた時、
「ぴーちゃん、お母さんが心配しているから。困らせないでね。
お母さん、ぴーちゃん探してるよ。困らせないでね。
いい子のぴーちゃんだものね」
その後度々あった。
最近ではマンションを買おうか、
どうしようかと思いはぐっていた時、
「ぴーちゃん、止めなさい。
ぴーちゃん、あとから困るよ。
大変のことになっちゃうからね。
いい子のぴーちゃん、もう少し我慢しようね。
お花が好きだもんね」
ときた。
事実、購入を迷ったマンションは問題が発覚し
建設途中のまま。
成人してから聞いたが、
私が幼稚園登園拒否した時は、
母親が大病を患っていた時期だったそうだ。
「いい子のぴーちゃん」は、
なだめすかす時の枕詞みたいなものだったようだ。
声の主が誰なのか気になるが、
30過ぎた私がぴーちゃんと呼ばれることが何よりの恐怖である。