母校に忍び込んだ
2019/08/03
深夜、同級生5人と母校(工業高校)に忍び込んだ。
「懐かしい、旋盤があるぜ!」
「あの頃の俺はこれを使ってたんだよな…」ナデナデ
みたいなことをしていると、
ライトを持った人影が近付いて来るのが目に入った。
職員室に明かりが点いていなかった為、
誰もいないと思っていた俺達はパニックになる。
「か、隠れろ!」
しばらくすると、
人の足音が近付いてきた。
ひどく一定に保たれていたのを記憶している。
「イッヒ リーベ カメラード♪ アディ アディ アディ♪」
何やら得体の知れない小唄を歌っていた。
夜間灯に照らされたそいつは、
黒いロングコートを着た若い男だった。
とても鋭い目をしていた。
猛禽みたいな感じだ。
「誰かいると思ったが、誰もいないか…」
抑揚の欠けた低い声が響く。
多分、美声だろう。
しばらくすると、
また一定の歩調で歩み去って行った。
俺達は慌てて退散した。
あいつは誰だったんだろ?