空中を漂う金魚
2019/07/17
小学二年か三年くらいまで、
空中を漂う金色の金魚みたいなのが見えてた。
基本的には姉ちゃんの周りをふわふわしてるんだけど、
飼ってた犬の頭でくつろいだり、
俺のお菓子横取りしたりと、
家の中を好き勝手にうろちょろしてたから、
うちで飼ってるペットかなんかで、
姉ちゃんに懐いてるんだろうと思ってた。
今考えたらおかしいよな。
変なもん見えてたんだな。
という話を、大学生の兄ちゃんが
里帰りしてきた時に話した。
兄ちゃん(姉ちゃんから見たら弟)は、
「お前、高校生にもなって何言ってんの?」
て言ってたんだけど、姉ちゃんは
「何でいるの?」
とか言い出した。
実は姉ちゃんも、
小学二年生の夏までその金魚が見えてたらしい。
だけど俺が生まれるちょっと前に見えなくなったので、
「あれは新しく生まれてくる弟の魂だったんだ!」
と思っていたんだと。
それなのに俺が生まれてからも
金魚がいたことが分かって驚いたらしい。
「友達だと思って楽しく話してた人が、
実は全然違う人だったと発覚したときの気分に似てる」
とか言い出して吹いた。
そんな体験したことねーよw
しかし、あの金魚みたいなのはなんだったんだろう?
姉ちゃんはまだ家にいるんじゃないかと
時々キョロキョロしてる。
見えないくせに何してんだよw
姉ちゃんが言うには、
あの金魚みたいのはショーベタとかいうのに似てるらしい。
魚詳しくないからわかんねえ。
あと、寝返り打った犬に潰されても
平気そうにしてたのが不思議。
普通ならぺちゃんこだよな。
触った感じはグミっぽかったけど、
ぐにぐにしたら嫌がって逃げてたなぁ。