傷痍軍人
2019/07/08
私は20代後半ですが、
10歳くらいまでの記憶はかなり断片的です。
その記憶の断片の中に、
不思議な場面があることに最近気が付きました。
年齢はわかりませんが相当幼い頃、
母と上○駅の銀○線へと続く階段を降りていると、
階段の中央に、壮年と見える2人の傷痍軍人さんがいました。
1人は足が片方無く、階段に身を預けるように座っていました。
もう1人はその傍らに立ち、
赤いアコーディオンを弾いて歌っていました。
当時の私は『傷痍軍人』という単語や存在を知りませんでしたが、
その雰囲気に奇妙なものを感じ、母に
「あの人たちは・・・?」
と話し掛けたところ、
「じろじろ見てはいけません」
と言われました。
記憶はここまでです。
時は経ち、相変わらずその階段をよく利用しているのですが、
通る度にあの2人の兵隊さんを思い出しては、
「ここもすっかり綺麗になったなー。
ちょっと前までは終戦直後の雰囲気だったのに」
などと思っていました。
が、迂闊なことですがつい最近、おかしいぞと思い始めたのです。
私が子どもの頃といえば、昭和50年代後半です。
街に傷痍軍人の姿があったのは、昭和30年代くらいまでのようだし、
あの兵隊さん達の年齢(30~40代)からしても合いません。
ここに考えが至った時は本当にハッとしました。
母が
「じろじろ見てはいけません」
と言ったのは、
最近まであの辺に少なからずいた、ホームレスのおじさん達のことで、
私が見ていた兵隊さんは、母には見えていなかったのでは・・・。
何かの撮影や大道芸??をしていたとも思えないし・・・
彼らはこの世の人ではなかったのかな、と最近思います。
しかし、何故かあまり恐ろしい感じはせず、
あの場で会えて良かった気さえします。
先人達の苦労を忘れてはいけないのだなぁ、と思いました。
長々とつまらないことを、すみません。
もし、私が見たのが普通に生きてる人達だったら、かなりハズカシイ・・・
その時は忘れてください。