雪と記憶
2019/07/08
6歳以前の記憶が全然なかった。
幼い頃住んでいた家にふと気が向いて行き、
近所を散歩していたら雪が降ってきた。
ある場所で急に思い出した。
一番仲の良かった友達がいて、
ここで交通事故に遭い、命を落としたことを。
ちょうど同じ時期で、
めったに降らない雪のせいでスリップした車に、
自分の目の前で…
それとともに、それ以前の自分の記憶が次々に蘇った。
その友達の写真を見ても思い出さなかったのに。
その晩夢を見た。
ちいさなその友達が、サッカーボールを蹴っている。
「覚えてなくて悪かったな」というようなことを言うと、
「まあええよ」と言って、彼がちょっと笑った。