飛頭蛮
2019/07/04
中学生の時の体験。
私の部屋と父の部屋は、フスマで仕切られている。
私はいつものように、いつもの時間に寝た。
深夜、ふと目が覚めた。
フスマから漏れる光がまぶしかったせいだ。
また父親がTV付けっぱなしで寝てるのかと思い、
TVを消しに父の部屋に入ろうとフスマをそっと開けた。
すると、父親の頭だけが空中に浮き、
高速で回転しながら部屋をぐるぐる回っていた。
光はその頭全体から放たれていた。
顔は笑っていた。
胴体は布団に横になったままだった。
あまりの驚愕に声すら出ない。
なぜか父と目が合ったら殺されると思い、フスマを閉めた。
AM3:00。
当然眠れない。隣の部屋からはまだ光が漏れている。
父が起きる6時まで布団をかぶって、
稲中卓球部を見つつ気を紛らわす事にした。
外が明るくなり、6時になった。
父は起き抜けに1本タバコを吸う。
その臭いがフスマから漏れて来た。
恐る恐るフスマを開けた。
父は私を見て「おはよ」と言った。
頭は胴体にくっついて、いつもの父親だった。
安堵と共に涙がでてきた。
深夜に起こった出来事を話すと、急に嫌悪感まるだしの表情に。
「そんなデタラメあるわけないだろう。
朝から馬鹿なこと言ってんじゃない」
と怒り始めた。
私は泣きながら何度も
「首、痛く無い?」
と聞いたが、怒るだけ。
その後、父親は特に病気になるでもなく、今も生きている。
あれはなんだったのだろうか。