ネイリストをしている女性
2019/07/01
友人にネイリストをしている女性がいます。
本来の職業は美容師なのだが、
ネイルアートが得意で、
現在はそちらの依頼が入ることが多いと言っていました。
今でこそネイルアートをしている人は
あまり多くはないそうですが、
一時期は猫も杓子もネイルアート状態で、
休む間もなかったと言っていました。
そんな彼女が、まさにネイルアート絶頂の頃、
「休みを取ろう」
と思ったできごとがあったそうです。
来る日も来る日も誰かの爪を見て、
それを整えて行く仕事。
彼女は心底、嫌気が指していました。
「目が疲れて、肩が凝る。
自分のしたいのはこんなことなのかって疑問だった」
そんな疲れを押して出勤したある日のこと。
マネキンにつけられているウィッグがずれているのを見て、
それを直そうと手を伸ばしたそうです。
ガリッ
鈍い音がして、
手の甲には鋭い痛みが走りました。
慌てて手を引くと、
そこには4筋の赤い傷が付いていたそうです。
「何かな、と思ってマネキンを見たらさ」
マネキン側頭部、ウィッグの隙間から、
薄汚れた手が覗いていたそうです。
「その手、爪に何もつけてなくて、
それを見た瞬間に、怖いとかより先に
『どうネイルアートを施そうかな?』って考えてた」
手が音もなく消えた後、
彼女は仕事を休むことを決意したと言っていました。