ネット上に存在する不思議で怖い話を
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義理の姉

2019/06/30

余り周囲の人には言えないタイプの話なのですが、
こちらでなら聞いていただけるかも知れないと思い、書き込んでみます。
とにかく誰かに聞いてもらって、自分の中で整理をつけたいのです。
二年前、義理の姉が死んでしまいました。
後述する様に、私が明確に「自分の家族だ」と思って居るのは兄しか居ません。
兄も同様ですので、兄の結婚後離れて暮らす様になっても、
互いに行き来し合っていた事もあり、
私と義姉とは本当の家族の様になっていました。
(少なくとも私はそう思っていました)
だから、新婚だった兄の悲嘆は深いものでしたが、
私も大学を休学する程落ち込んでしまっていた、と言う状況でした。
兄夫妻が暮らしていた実家の私の部屋で、
私は義姉の事について考え続け、そして妙な事を思い出したのです。
それは子供の頃の記憶でした。
忘れた事はなかったのですが、特に思い出したり、
義姉と結び付けたりする様な事はなかった様なものです。
それはこんなものでした。
私と兄とは子供の頃、一時期東北の親戚の家に預けられていました。
私の家はちょっと環境が複雑で、
両親は殆ど日常茶飯事に姿をくらますと言う状況でした。
ですから多分、逐電対策として、
手の空いていた親戚の所に放り込まれたのだと思います。
今にして思えば、あれ自体が不思議な体験でした。
多分過疎の村だったのだと思いますが、何しろ老人しかいないのです。
少なくとも子供なんかはおらず、
就学年齢前だった私はともかく、五歳年上の兄迄も学校にも行かず、
日がな一日、ぶらぶら畑の中の道を歩いていました。
親戚の人に意地悪された記憶なんかはないのですが、
親切にされたと言う記憶もなく、
はっきり言うと、何処の誰だったかも思い出せない曖昧な過去です。
私達は大声を出して遊ぶ事も憚られる様なその静かな村で、
「寂しいねー」とか言いながら過ごしていました。
で、そこで私は、一日だけちょっと不思議な体験をしたのです。
はっきり言って不思議と言っても、この段階では『地味』なものに入ります。
老人ばかりのその村の、私達兄妹だけの遊び場に、
若い女の人がやって来たのです。
幼児らしく思考能力のなかった私の方は、
「わーいお姉さんだー。今日はー」
とか言っていた記憶がありますが、
兄は流石に警戒して、私を引き戻したりしていました。
ですが、兄もそのうち慣れてしまった様で、
私達は三人で暗くなるまで遊びました。
で、何処が不思議なのかと言うと、
先ず、次の日から、そんなお姉さんには全然会えなかったと言う事。
そして、そこは東北であったにも関わらず、
何故か女性は関西の言葉を話していた事。
(これは実を言うと曖昧です。でも、多分そうだったと思います)
更に、そのお姉さんが時々、私達に理由もなく謝っていた事です。
一番最後の事があった故に、私はこの出来事を覚えているのです。
遊びの切れ間に、いきなり「ごめんね」とか言い出すので、
ぎょっとするわ少し怖いわで、そのお姉さんの事を「変だなあ」と思っていました。
記憶はここまで。
で、『実家で義姉について考えていた』ところまで話を戻します。
物凄く哀しんでいたから、多分その所為もあるんでしょうけど、
記憶の中のその女性と義姉が、私には同一人物としか思えなくなりました。
顔も似ていた様な気がするし、姉も関西人でした。
飛躍し過ぎだとセルフ突っ込みを入れつつも、思考は止まりません。
そして、もう一つ小さな事を思い出しました。
兄と義姉が結婚する前、
「あの兄の何処が良かったの」
みたいな事を訊ねたら、義姉は
「○○(兄の名前)君に、物凄い勢いで口説かれてそのまま流された」
と笑って答えたのです。
正直、にわかには信じ難い話でした。
先程お話した様な家庭の事情が原因だと思うのですが、
兄には人間不信気味な所があります。
大人になっても兄は、顔も頭も決して悪くないのに『怖い人』で通っており、
家族以外にフレンドリーにしている所なんか見た事もありませんでした。
以上の様な事情を話しつつ、義姉からより話を聞くと、
「前に会った事がないか」と、しつこく言って来たというのです。
単に物凄く義姉が好みだったに過ぎない、と言う可能性もありますが、
それにしたって、少しでも兄を知っている人にとって、
彼が人を口説いたりする様を想像するのは中々困難です。
本当に『兄は義姉と以前に会っている』と考える方が、私には自然に思えます。
で、『それは子供の頃に会ったあのお姉さんじゃないだろうか!』と。
その時は盛り上がりましたが、やがて二,三ヶ月経ち、
どうにか立ち直って来てみると、どう考えても違う様に思えて来ました。
兄も取りあえず外見は大丈夫そうになって来ていたし、
私はバイトもあったので、大学近くのアパートに戻る事にしました。
それで、二年が普通に過ぎまして、ついこの間の事です。
今年のゴールデンウィークに私は兄と会い、
多分初めて、姉が死んだ時の話を兄の口から聞きました。
姉の死因は交通事故です。
病院に運び込まれて、手術前に兄と話した時、義姉は
「先に死んじゃうなんて●●ちゃん(私です)にもうしわけない」
とか、
「ちゃんと謝りたい」
みたいな事を言ってくれていたそうです。
家庭に恵まれなかった私の事を、姉はいつも気にかけてくれていました。
それで私は、子供の頃会ったあの女の人の事をまた思い出したのです。
姉は優しい人だから、
幼少時見捨てられた子供だった私達の事を最後迄気にかけて、
訪ねてくれたのではないか。
そして(そんな事いいのに)謝ってくれたのではないだろうか。
そう思った訳です。
何だかすっきり整理が付いた様な口調ですが、
本当はそうでもなく、可能性が増えてしまっただけに結構混乱しています。
兄に『昔のあの女性の事を義姉だと思っているか』なんて話は流石に出来ないし、
友人達にするには、家庭の事情を話さなければならない部分も多い為、躊躇われるのです。
長くなってしまってすみません。
でも、私の中でちょっと整理がつきました。
『不思議だなあ』って体験です。

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