義実家の人々
2019/06/21
元同僚の話。
彼の奥さんの実家は、
人の死が見える家族なのだという。
義両親は共にはっきりと、
義妹はボンヤリと見えるのだそうだが、
なぜか奥さんだけはまったく見えない質らしい。
夫婦で実家に遊びに行くと、
「あぁ、君は○○で死ぬだろうから、
準備をしておいてくれ」
「娘を必要以上に苦労させたくないから、
保険とかもきちんとしておいてね」
などと反応に困るようなことを言われたそうだ。
奥さんが泣きながら
「あの人たちには、本当に人の死に目が見えるの」
と訴えた。
「ま、用心しておくさ」
と彼は返し、
自分が可能な対応をすることにした。
○○から連想される場所に、
絶対に近寄らないよう暮らし振りを変えてみる。
その少し後、再び訪れた実家で、
今度はこんなことを言われた。
「おや、○○で死ななくなったみたいだねぇ」
「でもまだ△△かもしれないし」
「だから今は△△を避けて生活しているんだ。
かなり天然入っているけど、
義実家の人たちって悪い人じゃないんだよ。
見方を変えれば、危険を未然に注意してくれているとも言える訳だし」
ニコニコとそう述べる彼の横で、
乾いた笑いを浮かべる奥さんが印象的だった。
彼自身も強烈な天然であるのだが、
当の本人はそれに気がついていない様子である。