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近所の変なおじさん

2019/06/20

今は社会人なんだが、ガキの頃~大学の時の話ね。
俺が生まれる前から近所に変なおじさんが居んのね。
何が変かと言うと、まず見た目。
いつもニコニコしてて、
いつもヨレヨレジャンパーかヨレヨレシャツに、
ピエロが首にしてるラフっていうワシャワシャしてるやつをつけてる。
あくまでみたいなやつね。
近所では露骨にではないけれど、
確かにあまり関わらない方がいいぞ的な感じはあったけど、
まだ物心もついてないようなガキんちょだったし、
俺は全然平気で特に避ける訳もなく、
ご近所に挨拶するように普通に挨拶してた。
挨拶をするといつも言葉で返す訳でもなく、
ニコニコしてうんうんってうなずいてたっけな。
俺が中学、高校と歳を重ねて物心がついてくるにつれて、
やっぱりちょっと怖いなという思いや、
近寄らない方がいいよなって意識は強まっていったけど、
ガキの頃から挨拶してるのをいきなりやめて無視とかしたら、
それこそ人としてどうだろって思って、変わらず挨拶はしてた。
そんで大学生になった時、友達が家に遊びにくる事になったんだよ。
正直あまり呼びたくなかった。
理由は、地元の連中なら
あのおじさんの存在を知ってるからいいんだけど、
知らない人が見たら、絶対何かのネタにしたり、
何あれ~って軽蔑した目でみたりすると思ってたんだよ。
それが嫌で、今まで地元以外の友達を家に呼んだ事はなかった。
仕方なく友達を家に呼んで、
流れでコンビニに買い出しに行くときに出くわしてしまったんだよね。
友達が
「えっなにあの人?」
みたいな空気になったから、
俺がその空気をかき消すかのように、
さっさと行こうぜ的な感じで、
おじさんを尻目に挨拶しないでさっさと先に行ってしまったんだよ。
挨拶しなかった事がなんか妙に心に引っ掛かっててさ、
すっきりしなかったんだよな。
その出来事から数日経った時に、夢にあのおじさんが出てきた。
真っ暗闇の中、スポットライトで一点だけ照らされてるような空間に、
おじさんがでかでかと『17』と数字が書かれた
大きな玉の上で玉乗りをしていた。
今にも倒れそうなよぼよぼした足使いで玉乗りをしながら、
おじさんが
「正直嬉しかったドン♪正直嬉しかったドン♪」
と言って暗闇に消えていった。
目覚めた時、なんか恋愛の夢を見た後みたいな
清々しい感じと妙な胸騒ぎがした。
察しが付いてるかもしれんが、その日を境におじさんを見なくなって、
それから間もなく親におじさんが亡くなった事を知らされた。
一人暮らしで身寄りもなかったらしい。
不思議な出来事?はまだ続いてるんだけど、
大学に入ってからずっと毎週土曜日にロト6を買ってんのよ俺。
今でも鮮明に覚えてるんだが、
おじさんが亡くなったのを知らされたのが水曜日で、
その週と次の週の土曜日はなんとなくロトは買わなかった。
2週あいてロトをいつも通り土曜日に買ったら、
なんと2等が当たった。
知ってる人はわかると思うけど、
2等は自分が選んだ数字5つとボーナス数字で当たるんだけど、
そのボーナス数字が『17』だった。
ただの偶然かわかんないけど、
俺はあのおじさんがしてくれたサプライズなんだと今でも思ってる。

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