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行く当てのないドライブ

2019/06/17

大学生のとき失恋とか留年で悩んで、
ストレス解消に毎晩のように当てもなくドライブをしていた。
ある深夜のこと、山道を走っていてふと、
『こんな辺鄙なとこで死んだらきっと見つからないだろうな。いっそ死ぬか』
という思いがよぎった。
そんな度胸はもともとありはしないんだが、
なんとなく死ねば悩みは解決するんじゃないかと考えた。
そしたら、いきなり車内に
「そんなこと駄目だよ。わたしみたいだよ」
って若い女性の声が響きわたり、
俺は心臓が停止するくらい驚いて、
「うわわあああ!」
と一人で叫んだ。
冷静になって声の原因を探ろうと思ったら、
消していたはずのラジオがオンになっていて、
微かに女DJが喋ってる声が聞こえていた。
ようするに、たまたまラジオの音が響いただけだったんだが、
不思議なのは、ラジオがなぜついてしまったのかということと、
いきなり響いたその台詞だけ大音量で、
ほかの音はかなり小さい音量だったこと。
偶然だろうとはいえ、
しばらくは車に乗るたびに怖くてしかたなかった。
15年前の話です。

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