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二回目

2019/06/17

リア厨の頃の話なのですが。(中三)
それぞれクラスは違うけど、仲良し五人組でいつも一緒でした。
当時、僕等は学校が終わってから一度家に戻り、塾へ行くまでの間、
順番に誰かの家に集合して、マンガ読んだりアニメを観たりして過ごしました。
ある日、いつものようにA宅二階で五人が集まった。
僕はマンガ本を、もう一人はお菓子を食べながら、
そしてあと三人はテレビを?観てたと思う。
その三人のうちYってやつがトイレへ行った。
トイレは一階にあり、Yは六畳ふすまのその部屋を出て階段を降りていった。
時間は夕刻五時ごろ。
アニメの時間から察するにそういう時間だったと。
で、Yがトイレに行ったと書いたけど、
実はその辺は記憶していない。想像だ。
しかし、確かに僕等のいる部屋から一人が出て行ったことには違いない。
それがYだと言う事もハッキリしている。
Yが戻ってきた。
ふすまを開けて「ただいま」。
Aがそれに答えて「おう」。
間髪いれず、Yがふすまを開けて「ただいま」。
Aがそれに答えて「おう」。
僕等は「え?」と、顔を見合わせた。
何故か好奇心旺盛なガキらしく、
皆一様に愉快な事に興奮しているような顔つきだった。
僕もとっさの事にマンガを置いて息を呑んだ。
誰か二人が声をそろえた。
「二回目!」
同時に同じコトが連続して起こったのです。
Yがふすまを開けて「ただいま」。
Aが「おう」。
それが間をおかずに二回。
例えば、Yが悪戯目的で一度ふすまを開けて、
一旦閉じ、もう一度開けて「ただいま」だったら、
ふすまを閉じてる時間が多少必要になる。
また、Aはふすまを開けて「ただいま」と言うYを実際に目撃している。
二回。
Aは寝そべってテレビを観ていたので、
「おう」と言ったときはちらっとYの方を向いただけ。
それも二回立て続けに。
ただ、僕とお菓子を食べていたもう一人、
そしてテレビを観ていたもう一人は、
自分の行動が二回起こった自覚はない。
ひょっとしたら、マンガを読んでいた僕などは、
同じ所を二度(同じコマを)読んだかもしれないが、
そういうことは別に意識するほどの事も無いので、
二度読んだという自覚に結びつかなかったのだろうと思う。
とにかく、僕等は盛り上がった。
しかしその晩、一人になって考えてみて、ぞ~っとした。
あれは何だったのだろうかと。
幽霊でも何でもなく、とにかく気味悪い。
一番気にしていたのはYだ。
もう何年も会ってないが、当時は、
「あれは本当にわからない」とか、
「確かに二度立て続けにふすまを開けたしなあ」とか。
さらに、こんな事も言っていた。
「最初に開けた時、部屋の雰囲気がちょっと暗かったような」
僕はそこに手がかりがあると思ったのだが、あえて言及しなかったし、
皆その話題にあまりふれようとはしなかったので、僕も忘れる事にしていた。
実際、あれは不思議な感覚だった。

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