友人の母親のお通夜
2019/06/16
福井の田舎で高校生の僕は、
友人の母親のお通夜に行きました。
崖くずれか何かの急な事故で
亡くなったとのことでした。
葬儀場は木造の古い公民館で、
息子の学校関係者ばかりが目立つ、
寂しい葬儀でした。
会場に入るとき、
入り口横のガラス窓を何気なく見上げると、
ガラスいっぱいに顔を近づけている
中年の瘠せた女性と目が合いました。
喪服を着ているようなので、
親戚か近所の人が手伝いに来て台に乗っかって、
上にあるものを取ろうかしていると思いました。
中に入ると、中央に写真があって、
さっきの人が写っていました。
でも式の中は、
親戚だから似ているぐらいに思って、
あまりピンときませんでした。
しかし会場を出るとき、
まさに背筋が凍りついたですね。
女の人が写っていた窓の内側には、
村の祭礼用の道具がびっしり仕舞ってあって、
とても人の入れるスペースなどありません。
その後10年ほどは、
怖くて怖くてずっと自分の胸にしまっていましたが、
今から考えると、彼女はあそこに立って
ずっと列席者を見ていたんですね。
色白の頬と、くっきりした眉毛が
いまでも脳裏に焼き付いています。