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初恋の相手と遊んだ

2019/06/10

初恋の相手とのできごと。
鮮明に覚えているのに、
相手の顔も名前も覚えていない体験。
7歳の頃、同じ学年で別のクラスの男の子と仲良くなった。
当時、私はいじめられたりすることもあって、
一緒に帰る友達とか皆無だった。
下校時、彼はいつも校門のところにいて、
一緒に帰ったり、寄り道して遊んだりした。
で、土曜日(当時は土曜日は午前中のみ授業があった)
一緒に帰っていると、
「明日一緒に遊ぼう」
と誘われた。
快諾したら、
「かわいい格好して来て、お姫様みたいな格好がいい」
って言われた。
なんで?って訊いても理由は教えてくれなかった。
当日、私の持っている中で一番のお気に入りを着ていった。
彼は家まで迎えに来てくれて、
「わぁ!かわいい」
って言ってくれた。
それで、
「Aちゃん(私)のお父さんとお母さんに」
って、小さい箱と手紙を渡された。
封筒の表には、
『Aちゃんのお父さんとお母さんへ』
って書かれてた。
字は彼の文字だと思う。
子供特有の感じのする文字だった。
箱は本当に小箱。
大きさ的には子供の片手に納まるくらいの大きさで、
真っ白な箱だった。
母を呼んで箱と手紙をそのまま母に渡した。
その後二人で遊びに行った。
どこをどうやって行ったのか覚えていない。
ただ手を繋いでいたから、そのまま彼についていった。
たどり着いたのは小川。
小川といっていいのか分からないくらい、水深も浅く川幅もない川。
その小川のすぐ傍の少し小高くなった所に神社があった。
小川で虫取ったり、花を摘んだり、魚探そう!とかやっていた。
私はお気に入りの服を汚さないように気をつけて遊んでいた。
神社の鳥居の手前にある石段に腰掛けてお菓子を食べて、
また遊ぼうとしたら川の中で私が転んだ。
膝をひどく擦りむいた感触があったけど、
ジンジンするだけで傷はなかった。
なのに血が流れてきた。
股間から血が流れていた。
だけど股間なんか打ってない、
別に尻餅ついたわけじゃなかったし。
流れる血を見て私はパニくった。
彼はパニくる私を見ながらニコニコしてた。
「なんで笑ってるの?私死んじゃうかも」
って泣いた。
彼は
「怪我してないよ、大丈夫だよ死んだりしない。良かった」
とか言う。ちっとも良くないのに。
私は流血ですっかり萎えてしまって、
帰りたいと言って彼と帰った。
いつも下校時に別れるところでさよならして帰宅。
母に怪我をしたって報告をして、
下着を脱いで確認したけど血なんかついてなかった。
どこも怪我してなかった。
ほっとして、母に彼から貰った手紙と箱のことを聞いてみたら、
「あぁ、うん」
って濁されて終わった。
二人で遊んだ翌日から彼と会えなくなってしまった。
いつもの校門の所にいないし、待っていても来ない。
探そうと思っても、
何組に在籍しているのか知らなかった。
連れて行ってくれたあの小川と神社もない。
姉と兄に話しても、そんな場所は知らないと言われてしまうし、
手渡したはずの彼からの手紙と小箱の存在も、
翌日以降から母は知らない、貰ってないと言い出すし…。
休み時間に別のクラスを探し回ったけど、
彼は見つからなかった。
背格好と髪型を言っても、そんな子いない、知らないと言われる。
7歳の私ができる限りをしたけど、彼は見つからなかった。
突然いなくなってしまったのも、
手紙と小箱のことも、神社と小川がないのも、
大好きだったのに顔と名前がすっぽり抜け落ちたように
忘れてしまっているのも、股間からの流血も、彼の言動も、
全部が私にとって不可解。
大体、彼とはいつも通学路で別れていて、
一度もお互いの家に行き来していないのに、
どうして迎えに来れたのかもわからない。
本当に不可解。

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