本文の文字サイズ

ねじ式の世界

2019/06/05

今から3,4年前、大学生時代の出来事です。
その日も夕食を外で済ませ、
いつも使う100メートルほどの小道にさしかかりました。
ふと道の端に目をやると、バイクにまたがった人が目に入りました。
なぜかその人はヘルメットではなく覆面をかぶっており、
じっと私を見つめています。
?と思って改めてその人を見ると、
穴から覗く口元はうっすらと笑みを浮かべていました。
不快さと同時に気味悪さを感じた私は、足早にその人の横を通り過ぎ、
振り返ることなく10メートルほど進んだ時のことです。
私の少し後ろの方で、
「うおおおおおおおーー」
という声が聞こえました。
覆面野郎かと思い振り返ってみると、
4,5メートル後ろから、見たことのないおっさんが
竹箒を大上段に構えて走ってきます。
こいつはぜったいヤバイなどと考えるまもなく、私は走り出していました。
私を追いかけている最中も、おっさんは奇声を上げていたように思います。
逃げること60メートルほどでしょうか、
あせっていた私はおもいきり転んでしまいました。
すると、
「うおおおおおー」
という声。
殺られる!と思い、咄嗟に身を丸めてなんとかその場をやり過ごそうとしました。
が、おっさんは始めから私など見えていなかったように、
奇声を上げながら少し先の横道に消えていきました。
その場に残された私は、しばらく呆然としていたと思います。
やがて我に返ると、誰かに見られていないかと恥ずかしくなり、あたりを見回しました。
案の定、そこには二つの人影が。
でもこの二人、明らかに普通ではない様子。
一人はジョギングウェアで、前方の一点を見つめて、
ざっざっざっといった感じの軍隊歩きで、こっちに向かっています。
もう一人はスーツ姿なのですが、右手で左のわき腹をおさえ、
左足はずるずると引きずりながら歩いています。
目の焦点はどこにも結ばれていません。
ちょうどわき腹を銃で撃たれたようなカッコウでした。
わたしは先ほどの気恥ずかしさも忘れ、
なるべく二人を見ないようにその場をはなれ、急いで家に帰りました。
だからどうしたという話ではないですが、不思議な体験でした。
『ねじ式』の世界に迷い込んだようでした。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

人気作品

人気カテゴリ

RSS