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女子寮

2019/05/28

寮にいたときの話。
寮は鉄筋だけど、よく家鳴りする以外は快適で、大して怖い噂もありませんでした。
夜のトイレとか、並んだ合わせ鏡を夜中に見るのは怖かったけど。
私の隣室の子は『自称霊感アリ』だったけど、
あまり相性が合うタイプではなかったので、おつきあい程度の会話だった。
ある日、私が出かけようとしていたら、
隣室の子が友達連れであがらせて欲しいという。
連れの子も自称霊感アリみたいな繋がりで、隣室の子と仲良くなったらしかった。
なんか、数珠だかお経の話をしていたのを見たことがあったから。
私は怖い話は大好きだけど、彼女達とは性格的に合わなかったし、
おおっぴらに霊感アリを自称する人はなんだか信用が出来なくて、好感を持っていなかった。
正直面倒ではあったんだけど、どうせすぐ出かけるから、
少しならと部屋にあげたのですが、なんか妙な雰囲気。
支度をする私を横目に、なにやらひそひそと話している。
「私の部屋も居づらかったけど、こっちも・・・」
「ねー・・・」
とクスクス。
どうせロクでもない話に違いない、と相手にしないでいたら、
「この部屋、いるよ」
「よく平気でいられるねー」
「ほら、そっちの・・・」
霊感アリを自称するくらいは個人の自由と思っていたけれど、
わざわざ人の部屋に上がりこんで、
そんなことを言う常識知らずに静かにプチリと切れて、
「出かけるから・・・」
と部屋から追い出しました。
二十代半ばにもなってそんな行動の出来る彼女達にほんのり。

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