誰かが訪ねて来た
2019/05/27
祖母は97歳で亡くなった。
生前は町から遠く離れた山の中に、
親類のお婆さんと2人で住んでいた。
ある日の深夜2時頃、
玄関のチャイムが鳴るので出てみると、
誰もいない。
変だなと思って寝ると、またチャイムが鳴り、
玄関を開けるまで鳴りやまない。
チャイムは明け方4時近くになってやっとおさまる。
これが何日も連続して続き、信心深い2人は、
「知り合いの誰かが訪ねて来たのに、
家にあげないからチャイムを鳴らされるのだ」
と考え、手料理や茶菓子を用意した。
そして、その晩チャイムが鳴ると、
「どうぞおあがりください」
とスリッパを出し、
茶の間で目に見えない客を歓待したという。
それを境に夜中のチャイムはなくなり、
家の中でも特に変わったことは起きなかったそうだ。