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田んぼに石を投げ込む遊び

2019/05/17

最初に、何歳の頃かも忘れてしまった、
幼い日の出来事から・・・
山や田んぼには、
神様が住んでいるという話を聞いた事がありますか?
私の生まれた町では、
お百姓さん達からそんな話を聞かされて育ちました。
ある日、私は幼馴染A君と2人で、
彼の家の近所の神社の裏手の田んぼのあぜで遊んでいました。
親からは
『明るいうちに、帰っておいで』
ときつく言われてはいましたが、
楽しい時間はあっという間にすぎ、
あたりが薄暗くなってきてしまった時、
それは起こりました。
苗の植えられている田の水面が鏡のように調い輝いて、
その中では、怒り心配している私とA君の母親と、
近所に住んでいる同級生の母親が映っていたのです。
3人の母親の会話まで聞こえた記憶があります。
早く帰らないと酷く怒られると思った我々は、
急いでA君の家の前まで駆けて行きました。
そこには、水面に映ったのと同じ服装、
構図の母親たちの姿がありましたが、
なぜか不思議には思いませんでした。
その後か先かは忘れましたが、
田んぼに石を投げ込む遊びをした事があります。
まだ苗の植わっていない田んぼは見晴らしが良く、
大きな石を投げ込むと爆発するように
泥と水飛沫を上げる事から、爆弾投げと呼ばれていました。
その年、私の家の前の田は
『神田(その田の収穫から、神社に一束の稲穂をお供えする)』
となっており、
お神酒と、注連縄で飾られていました。
私たちはいつもの年のように、
大きな掴み易い丸めの石を選んで投げ込む事にしました。
まるで注連縄がプロレスのリングのようで、
幼い心に特別な思いを抱かせたのでしょうか?
私は石垣に隠しておいた、
模様の入ったお気に入りの宝物の石を投げる事にしました。
石の大きさは、
多分大人の握りこぶし位だったのではないでしょうか。
私は一番乗りで石を投げ、石は放物線を描いて水面へ。
大きな水飛沫が上がった時、
私は頭に強い衝撃を受けて、意識を失いました。
目が覚めると、そこには母と、友人達。
そして近所の医院のお爺ちゃん先生が覗き込んでいました。
「この石が頭にぶつかったんだよ」
と聞かされて、先生が見せてくれた石は、
確かに自分が投げ込んだはずの宝物の石だったのです。
周りにその事を訴えると、皆、急に押し黙り、
その後両親に連れられて神社と田んぼに、
お供えをしに行った記憶があります。

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