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もう一人の彼

2019/05/16

数年前、結婚したいと思っていた恋人と同棲してました。
だいたい付き合って3年目で同棲して、1年目くらいのことでした。
休日の朝、なんか彼が布団の中でごそごそしてるので目が覚めました。
自分達はお互い淡白な上に、当時は家族みたいな関係が強くなっちゃって、
正直男女の関係はほとんど無かったです。
おっ珍しいなあ~と寝ぼけつつ、彼を受け入れてました。
なかなかに情熱的でした。
と、その真っ最中のこと。
ガチャガチャとドアが開けて、誰かが入ってきました。
買い物袋のようなものを抱えたそいつは、一瞬立ち尽くした後、
持ってた荷物を玄関に放り投げると、
物凄い勢いでこちらに向かってきました。
部屋はカーテン閉めていて薄暗かったので、
そいつが近くまで寄ってきてやっと顔が見えました。
それは、彼でした。
もう驚いて、後ずさって?飛び上がって?
さっきまで抱き合ってた彼を見ると、それは彼でした。
彼が2人いました。
それに気づいた瞬間から気分が悪くなって、記憶が微妙なんですが、
2人の彼は、小声で早口で口論をしていたようでした。
布団にいた方が服を着つつ、
「交代の日がきたので彼女も返してもらう」
というようなことを言ってたのは覚えてます。
実際の言葉はもっと長い文章だったけど、
意味はそんな感じのことだったと思います。
玄関からきた方の彼は、怯えたような怒ったような、すごい変な顔してました。
それで、いきなり外に飛び出していってしまいました。
布団の彼も、追いかけて出て行ってしまいました。
私はちょっとちびってしまいましたが、
腰が抜けたという状態になってしまって、
立ち上がることができませんでした。
布団の上で立ち上がろうと努力していると、結構すぐ彼が帰ってきて、
「驚かせてごめん。もう大丈夫」
と言いました。
でも、冗談だよとかドッキリだよとか無くて、
玄関に散らばってた牛乳パックとかを黙々と片付けてて。
彼は1人だったけど、これはどっちの彼だろう、もう1人はどうしたんだろう・・・
そう考えると、置かれた状況の意味がわからなすぎて、
猛烈に気分が悪くて、何も聞きたく無くて、
抜けかけた腰を奮い立たせて外に出ました。
それで、その日そのまま実家に帰って、
「彼とケンカした」
と言って休ませてもらいました。
それからの記憶も曖昧なのですが、
実家で暮らして、なんとか彼と別れました。
ケンカしたと皆には言っていたのですが、本当の理由は言えなくて、
今でも自分の頭がおかしんじゃないかと思うことがあります。
でも、別れたいという私に、
理由を聞かず、かなしそうにしてた彼を覚えているので、
あの事件は現実にあったことだと、私の頭は信じています。
あの時、
『何で2人いるの』
『あれなんなの』
って問い詰めていれば、
彼も言い訳しやすかったのかもしれませんが、私はそうしなかった。
何も聞きたく無かったし、
無かったことにしたかったし。
彼も何も言いませんでした。
彼を見るだけで気分が悪くなってしまって、何も言えなかった。
『これは、どっちだろう』
とか。
というか、
『何人もいたとしたらどうしよう』
と思って。
今も軽く人間不信です。
今も彼は普通に実在してて、元気にやってるそうだというのを聞いて、
良かったと思えるようになったので記念に。
絶対関わりたく無いですけど。

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